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2018-09-21 平成30年第3回定例会(第5日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2018-09-21
    2018-09-21 平成30年第3回定例会(第5日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(柴立鉄彦君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    田 中 良 二 君    前 野 義 春 君    向 井 俊 夫 君    桑 鶴   勉 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(柴立鉄彦君)一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  田中良二君に発言を許可いたします。
       [田中良二君登壇](拍手) 3 ◯田中良二君 おはようございます。  早速、質問通告に従いまして質問させていただきます。  まず、行政評価の手法と進捗についてであります。  一項目めに、かごしま未来創造ビジョンに係る行政評価についてお尋ねします。  かごしま未来創造ビジョンにつきましては、おおむね十年後の鹿児島の目指す姿、施策展開の方向性を総合的に示す指針であり、平成二十九年第一回定例会において、私の一般質問に対し知事から、「新たな県政ビジョンは、県政全般にわたる最も基本的なもの」との答弁がなされております。そして、ビジョンに基づく分野別計画も逐次、策定されているところであります。  この九月県議会の提案理由説明におきまして、知事は、「地方創生にも引き続き取り組みつつ、かごしま未来創造ビジョンに示す将来像の実現に向けて、各種施策に取り組んでまいりたい」と述べておられます。  まず、かごしま未来創造ビジョンに係る定性目標と定量目標について質問いたします。  改めて、ビジョン自体には大きな数値目標は示されず、全体的に定性目標が網羅されていると思いますが、ビジョンの達成状況の評価手法の今後の方向性として、例えば、鹿児島の目指す姿として、ひとが潤う鹿児島~どこよりも幸せを実感~との記述がありますが、何をもってビジョンの達成状況を評価・測定されるのか、ビジョンに係る評価の手法と進捗管理はどのようなものか、お尋ねいたします。  また、相当数の分野別計画におのおの数値目標が掲げられている中で、ビジョンの計画期間内においても、いずれビジョンの達成状況の評価・検証として、県民全体あるいは県全体に係る定量目標による説明が求められると思いますが、ビジョンの中で、特に知事が政策の力点を置かれている定量的な数値目標は何でしょうか。  言いかえますと、県民が、鹿児島に生まれてよかった、住んでよかったと実感することにつながる、県勢発展を象徴する定量的数値目標は何であると考えておられるのか、お尋ねいたします。  次に、現在、各地域振興局・支庁単位で策定が進められております地域振興の取組方針は、行政評価の対象となるものでしょうか。  次に、本県における行政評価の現状について質問いたします。  まず、本県における行政評価の仕組みはどのようなものか。国の政策評価制度にあります、学識経験者の知見や政策評価審議会の活用による行政評価がなされているのか。  そして、本県において平成二十八年度以降に策定・改定された計画等の数は幾らか。また、そのうち行政評価を実施した計画等の数について、年度ごとにお示しいただきたい。  次に、知事マニフェストと政策評価法との関係性について質問いたします。  まず、かごしま未来創造ビジョン知事マニフェストの関係性についてお尋ねします。  知事におかれましては、二年間の東奔西走による成果として、先月、マニフェスト等の進捗・取り組み状況を公表されました。  そこでまず、基本的に、地方行政における長期的な基本構想の将来ビジョンと首長マニフェストについて、それぞれの性格と両者の関係性をどのように認識されているのか。  次に、知事マニフェストと政策評価法の関係性について質問いたします。  政策評価法は、平成十四年に施行され、国における政策に係る評価機能の充実・強化が図られたところですが、このたびの知事マニフェスト等の進捗・取り組み状況の公表に当たり、マニフェストをどのような手法で評価されたかについて質問いたします。  知事マニフェストの全ての項目につきまして、政策効果の定量的な把握、必要性・効率性・有効性等の観点からの自己評価、有識者の知見活用など、政策評価法に準拠した手法で評価されたのでしょうか。  そして、評価後の方向性として、これも政策評価法の趣旨にありますように、マニフェストにつきましても、その効果やその後の社会情勢の変化に基づき、政策を積極的に見直す考えがあるのか、お尋ねいたします。  次に、県内総生産と一人当たり県民所得から成ります県民経済計算については、八月に内閣府が平成二十七年度分を公表しましたが、かごしま未来創造ビジョンとの関係性について質問いたします。  まず、ビジョン達成の総括的な評価において、県民経済計算の数値を、政策効果の定量的指標─定量目標─として評価項目とされるのか。  そして、県民経済計算に係る数値目標と、それを達成するための政策方針についてお尋ねします。  次に、県民満足度調査についてお尋ねします。  行政評価の手法としては、内部の自己評価、第三者評価などの手法があろうかと思いますが、岡山県、埼玉県では県民満足度調査が実施されているようであります。  まず、両県の県民満足度調査の目的、調査概要と評価項目はどのようなものか。  そして、このような県民満足度調査を本県でも実施検討できないものか、お尋ねいたします。  次に、持続可能な行財政構造の構築に関して、国の新たな財政健全化計画についてお尋ねします。  国においては、本年六月に、経済財政運営と改革の基本方針二〇一八、いわゆる骨太の方針を閣議決定し、新たな経済・財政再生計画が盛り込まれております。その中で、プライマリーバランス─国と地方の基礎的財政収支─の黒字化を、従来目標の二〇二〇年度から五年おくらせた二〇二五年度に達成するとの方針を示しました。  そこで、プライマリーバランスの黒字化の先送りと一般財源の確保についてお尋ねします。  まず、この黒字化の五年先送りについての見解をお示しください。  次に、この五年先送りは、本県の行財政改革にどのような影響を及ぼすのか。影響があるとすれば、当局の対応方針をお示しください。  次に、行財政運営戦略の見える化について質問します。  まず、一般財源ベースの財政規模の見通しについてお尋ねします。  骨太の方針では、地方の一般財源の総額は、二〇一九年度から二〇二一年度は二〇一八年度を下回らないとの方針でありますが、黒字化の目標年度、二〇二五年度までの本県の一般財源ベースの財政規模はどれぐらいの見通しでしょうか、五千億円規模で推移する見通しでしょうか。  次に、二〇二五年度は、団塊の世代が七十五歳になる年度とされていますが、年代別人口推移からして、本県の扶助費の二〇二五年度までの推計値は一般財源ベースでどのような見通しでしょうか。  最後に、県としての中期的な行財政改革指針についてお尋ねします。  本県の行財政改革は、七年前、二〇一二年策定の行財政運営戦略に基づき、毎年、翌年度について単年度ローリング方式で検討され、翌年度の当初予算への反映となっております。  しかし、私は、国の新たな財政健全化計画を踏まえて、先ほど質問しました一般財源ベースの財政規模や扶助費等の見通しを数値化して、行財政運営戦略の見える化を図るべきであり、県として、二〇二五年度までの向こう七年間の中期的行財政改革指針を示すべきではないかと考えますが、見解をお示しください。  次に、債務負担行為について質問いたします。  債務負担行為は、予算単年度主義の例外として、後年度に予算支出義務を負うものであり、政策の確約の点からは、予算の道筋が見えるものとして歓迎されますが、一般財源のフレームが縮小の見通しにある場合には、先約された債務負担行為の予算額が財政運営の硬直化の一因にもなるものであります。  そこでお尋ねしますが、債務負担の当該年度以降の支出予定額について、平成三十年度以降の負担総額は幾らでしょうか。そのうち、一般財源の額は幾らでしょうか。  次に、債務負担行為に関しまして、本県の実質的な将来の財政負担として、地方債残高と債務負担行為額の合計額は幾らでしょうか。そして、それらが今後の本県の財政運営に及ぼす影響について、どのような見通しであるのかお尋ねします。  次に、防災基金条例に関しまして、まず、災害対応に係る経費の財源についてお尋ねします。  突発的な災害対応に係る経費の財源として、災害救助法に義務づけられました災害救助基金以外のもので、本県では何が留保・担保されているのでしょうか。  また、過去五年間において、災害対応のための財政調整積立基金の取り崩し、あるいは予備費充用の経緯があるのでしょうか。  次に、県債管理基金の一般会計分についてお尋ねします。  まず、基金造成の目的、平成三十年度末の見込み額、過去五年間の基金取り崩しの経緯についてお尋ねします。  そして、本県の行財政改革において、平成二十三年度以来、当初予算編成時の財源不足はなしであり、県独自発行の県債残高の減少が本年度も継続されていることは、行革の成果として極めて高く評価できますが、一般会計の県債管理基金は、これまでの財政調整に活用可能な基金としての機能を果たしてきたのかについて、見解をお示しください。  次に、防災基金の新規造成についてお尋ねします。  近年、全国的に、たび重なる台風発生等による豪雨災害あるいは火山噴火、地震などによる自然災害が相次いでおります。県民の皆様の安全・安心な暮らしを守るためには、住民みずからの防災意識の醸成とあわせて、行政によるハード面の整備と、まさかの災害時におけるスピーディーな現地対応と同時に、早急な災害復旧工事の施工が望まれています。  また、防災に関しましては、自民党の代表質問でも出されましたように、専門家からは、異常気象新時代到来として、異常気象が相次ぐ新たな局面に対応した対策が必要との指摘がなされております。  そこで、防災基金条例の制定について、これは安全・安心の県土づくりに向け、県民の防災意識の高揚、速やかな災害復旧事業の実施あるいは災害ボランティアの活動支援等を目的とする防災基金条例の制定と、財源の担保として、同条例に基づく防災基金の新規造成を提言するものでありますが、見解をお示しください。  あわせまして、他県における防災基金条例の制定と基金造成の状況をお示しください。  以上で、一回目登壇の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 4 ◯知事(三反園 訓君)かごしま未来創造ビジョンマニフェストとの関係性についてであります。  マニフェストは、県民の皆様と一緒に新しい力強い鹿児島をつくるための基本的な方針と、観光や農林水産業、医療・福祉、教育、産業・雇用、防災という、鹿児島を日本一にする六つの約束を掲げたものであります。  かごしま未来創造ビジョンは、おおむね十年という中長期的な観点から、鹿児島の目指すべき姿や施策展開の基本方向等を示すものでありまして、例えば、マニフェストに掲げました農林水産業については、オール鹿児島によるPRの展開、攻めの農林水産業の実現に向けた輸出拡大、医療・福祉については、高齢者の健康づくりと社会参加の促進や子供の生活支援を盛り込むなど、マニフェストを踏まえながら、県政全般にわたる最も基本的なものとして策定したところであります。  マニフェストの評価や見直しの実施についてであります。  私が口頭で申し上げたことも含め、マニフェストに掲げた四つの政治姿勢と四十一項目の施策につきまして、就任後二年間のマニフェスト等の進捗・取り組み状況として取りまとめ、先月三日、公表いたしました。  マニフェスト等の進捗・取り組み状況の公表に当たりましては、それぞれの項目について、どのように進んだか取り組みや成果等を具体的に記載して、県民の皆様にできるだけわかりやすくお示ししたところであります。  今後とも、本県を取り巻く社会経済情勢や県議会の皆様の御意見、財政状況等も踏まえ、優先順位を判断しながら、四年間の任期中に実現できるよう、また方向性を示せるように努力してまいりたいと考えております。 5 ◯企画部長(古薗宏明君)かごしま未来創造ビジョンの達成状況の測定・評価や定量的な数値目標についてであります。  かごしま未来創造ビジョンは、県政全般にわたる最も基本となるものとして、おおむね十年後を見据えた中長期的な観点から、鹿児島の目指す姿や施策展開の基本方向などを明らかにするため、本年三月に策定したところでありまして、ビジョンそのものについて進捗管理を行うことは考えておりませんが、ビジョンにおける施策展開の基本方向を踏まえて実施する具体の施策・事業につきましては、各分野の個別計画や毎年度の予算編成等を通じて、適切にその進捗管理を行うこととしております。  かごしま未来創造ビジョンでは、数値目標を設定しておりませんが、分野別の個別計画、例えば鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョンにおきましては、二〇二五年度における県産農林水産物の輸出額目標として、二〇一六年度の二倍となる約三百億円を掲げるなど、計画の内容や目的に応じて、必要な数値目標等を設定しているところであります。  地域振興の取組方針の評価についてであります。  地域振興の取組方針につきましては、かごしま未来創造ビジョンを補完し、それぞれの地域における特有の課題やポテンシャル、分野別の取り組み方針などを示すものとして作成することとしており、ビジョンと同様、各分野の個別計画や毎年度の予算編成等を通じて、適切にその進捗管理を行うことといたしております。  県民経済計算を用いたビジョンの評価と数値目標の設定についてであります。  かごしま未来創造ビジョンは、おおむね十年後を見据えた中長期的な観点から、鹿児島の目指す姿や施策展開の基本方向などを明らかにするものでありまして、数値目標を設定していないところであります。  県といたしましては、ビジョンに基づき、本県が有する健康・癒やし・長寿に有益な地域資源、いわゆる鹿児島のウェルネスを活用した観光振興や農林水産物の販路・輸出拡大、競争力のある産業の振興を図るなど、県勢発展につながる施策の充実に努めてまいりたいと考えております。 6 ◯総務部長(平木万也君)本県における行政評価の現状についてでございます。  本県の行政評価は、各部局が県の施策に関する基本的な計画等を策定・改定する際に、施策を効果的・効率的に推進することなどを目的として施策評価を行い、その結果を次期計画に反映させる仕組みとしております。  実施に当たっては、定量的な指標による目標設定に努めるとともに、施策評価の客観性及び専門性を確保するため、学識経験者等の知見の活用にも努めているところであります。  平成二十八年度以降に策定・改定された計画等の数は、今年度の予定も含めて六十二あり、そのうち平成二十八年度は、鹿児島県女性活躍推進計画など四つの計画において、平成二十九年度は、鹿児島県高齢者保健福祉計画など七つの計画において施策評価を行い、その結果をそれぞれの計画に反映したところでございます。また、今年度は、鹿児島県森林・林業振興基本計画など五つの計画において施策評価を行う予定としております。  続きまして、県民満足度調査についてでございます。  岡山県や埼玉県で実施されている県民満足度調査は、県政における今後の施策展開の基礎資料とするため、県内在住の男女数千名を対象に、アンケート形式により行われているものであります。  調査項目については、県の総合計画等に位置づけられた重点施策等に対する満足度や重要度などとなっており、調査結果については、各県のホームページ上に公表されているところであります。  本県では、施策評価を実施する際に、必要に応じ、県民の意識調査や実態調査を実施するなどの手法を採用しているものもあり、今後とも、それぞれの分野の特性に応じた適切な評価が行われるよう努めてまいりたいと考えております。  続きまして、基礎的財政収支の黒字化の先送りについてでございます。  基礎的財政収支の黒字化の達成時期については、消費税率一〇%への引き上げ延期など、さまざまな状況を考慮の上、国において判断されたものと認識しております。  骨太の方針二〇一八では、地方財政については、国の取り組みと基調を合わせて、歳出改革等の加速・拡大に取り組むとされ、地方交付税の改革努力等に応じた配分の強化、業務改革の取り組み等の成果の地方財政計画等への反映、地方財政計画と決算を比較するための見える化などが示されているところであります。  このようなことから、今後、財政健全化目標の達成のために、地方交付税等について厳しい調整が行われ、本県財政に厳しい影響を及ぼすことが懸念されるところであります。  このため、県といたしましては、県勢の発展や県民福祉の向上に資する事業について積極的に推進しつつ、持続可能な行財政構造を構築するため、引き続き、歳入・歳出全般にわたる徹底した行財政改革に取り組む必要があると考えております。  次に、一般財源ベースの財政規模の見通しについてでございます。  本県の一般財源は、地方消費税率の引き上げの平年度化が進んだ平成二十七年度からは、当初予算ベースで五千五百億円程度で推移しておりますが、先ほど申し上げましたとおり、国が財政健全化の取り組みを進める中で、地方交付税について厳しい調整が行われることが懸念されること、また、税制改正の内容等が不透明であることなどから、中長期的な見通しを行うことは困難であると考えております。  次に、扶助費の今後の見通しについてでございます。  中長期的な見通しについては、国が、二〇二五年度の基礎的財政収支の黒字化に向けて、医療・介護のサービス供給体制の適正化・効率化などの社会保障改革に取り組むこととしており、今後、さまざまな制度改革が行われることが考えられることから、現時点において推計値をお示しすることは難しいと考えておりますが、一層の高齢化の進行による高齢者医療制度、介護保険制度の対象者の増加などにより、今後も扶助費は増加するものと考えております。  中長期的な行財政改革指針についてでございます。  現時点において、一般財源ベースの財源規模や扶助費の見通しを数値でお示しすることは困難でありますが、現行の行財政運営戦略は、厳しい財政状況が続くことが見込まれる中、今後の中長期的な行財政運営の基本的な考え方や行財政改革の方向性を示すものとして策定したものであります。  本県は、自主財源に乏しく、厳しい財政状況にあることに変わりはなく、引き続き、この現行戦略に基づき、徹底した行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、平成三十年度以降の債務負担総額及び実質的な将来の財政負担についてでございます。  本県の債務負担行為に基づく平成三十年度以降の支出予定額は、平成二十九年度決算見込みベースで約五百三十二億円であり、そのうち一般財源は約二百十一億円となっております。  地方財政白書に示されております実質的な将来の財政負担額は、地方債残高に債務負担行為に基づく翌年度以降支出予定額を加え、基金積立金現在高を差し引いた額として計上されており、本県では、平成二十九年度末で一兆五千九百億円余りとなっております。平成二十五年度末時点の一兆六千四百億円余りと比較いたしますと、約四百四十億円ほど縮減しているところであります。  今後の見通しにつきましては、さまざまな要因に左右されることから、現時点で見通すことは難しいものと考えておりますが、今後とも引き続き、行財政運営戦略に基づき、財政の健全化を進め、将来負担の適切な管理に努めてまいりたいと考えております。  次に、災害対応に係る経費の財源についてでございます。  突発的な災害対応に係る経費については、当初予算にあらかじめ現年災害復旧事業費を計上しており、また、当初予算で賄い切れないものについては、補正予算で対応しているところでございます。
     その財源といたしましては、国庫支出金や災害復旧事業債等を活用するほか、充当できる財源がない場合には、災害により生じた経費の財源に充てるときに取り崩しが可能である財政調整積立基金からの繰入金を活用しているところであります。  なお、軽微なものについては、予備費により対応することも想定されます。  過去五年間では、今年度の六月補正予算における霧島山硫黄山噴火対策経費の財源として財政調整積立基金を活用しているほか、平成二十八年度の台風十六号に係る漂流木回収等経費などに予備費充用を行っております。  県債管理基金についてでございます。  県債管理基金につきましては、県債の償還及び県債の適正な管理に必要な財源を確保し、将来にわたる財政の健全な運営に資するために設置しており、満期一括償還財源として積み立てているものを除いた平成三十年度末残高は、七十四億五千四百万円となる見込みであります。  平成二十三年度以降、財源不足が解消していることから、過去五年間に取り崩しを行ったことはありませんが、直近では平成十九年度に財政調整のために百十四億円の取り崩しを行っており、財政調整に活用可能な基金としての機能を果たしているものと考えております。  防災基金条例の制定についてでございます。  県では、災害に強い強靭な県土づくりと危機管理体制の強化を図るため、地域防災力の強化や防災・減災対策の推進、大規模災害対策に努めているところであります。  このため、県総合防災訓練や防災講演会・研修会、地域での連携・協働した取り組みを推進する事業等を実施しているほか、治山施設の整備や治水対策、橋梁の耐震対策等に取り組んでいるところであります。また、災害により公共施設が被災した場合は、災害復旧事業を実施し、迅速な復旧に努めているところであります。  これらの施策の財源は、毎年度の予算編成において必要な額を確保しているところであります。充当できる財源がない場合には、財政調整積立基金からの繰入金を活用するなど、適切に対応しているところであります。  現時点で把握しております防災や災害対応に係る基金の設置状況については、全国で十三都県が基金条例を制定しており、また、その造成額については団体によって大きな差があり、数億円、数十億円、百億円超とさまざまな状況であります。 7 ◯田中良二君 行政評価について、一点だけ自席から再質問いたします。  先ほどの答弁で、平成二十八年度以降、策定また策定予定の計画の数は六十二件、それから行政評価、施策評価を行うものが予定を含めて合計で十六件になるということなんですが、当然に行政評価の指針によって評価されると思うんですけど、私が一番気になっておりますのは、この行政評価のサイクルのスパンのことなんです。  例えば、五年計画を策定して、行政評価を行う時期が改定時期となりますと計画終了の五年後、そうしますと五年に一回の評価にしかならないととれるわけです。そして十年ビジョンになりますと、十年間、行政評価は手つかずという印象も受けるわけなんですが、考え方を確認したいんですけど、こういう目まぐるしく動く情勢に適応するためには、当然に、例えば五年基本計画であれば中間の三年目とか、十年ビジョンであれば中間の五年目に横断的な、総括的な行政評価を実施すべきであると考えますが、行政評価のサイクルのスパンについて、今後の姿勢として考え方をお示しください。 8 ◯総務部長(平木万也君)行政評価に係る再質問についてでございます。  計画等の評価につきましては、各部局等において適宜実施しているところであります。最近では、男女共同参画基本計画において中間評価が実施され、その結果が次期計画に反映されたところであります。  このように、今後とも、それぞれの分野の特性に応じた評価が行われ、その結果が必要に応じ、計画等に適切に反映されるよう努めてまいりたいと考えております。    [田中良二君登壇] 9 ◯田中良二君 それぞれに御答弁いただきました。  行政評価の手法と進捗に関しましては、知事から、マニフェストとビジョンとの関係性についての答弁もいただきました。  行政評価の手法としましては、各施策・事業について、引き続きPDCAサイクルで実施され、議論としては、細かく次年度予算要求の方向に向かうと思われますけれども、ぜひとも、計画やビジョン全体を鳥の目で俯瞰する行政評価を実施していただきたいと思います。  県民満足度調査について、個別計画でそれぞれの意識調査をやっているということでございますが、ビジョン実現の主役が名実ともに県民であるとするならば、他県が実施しておりますように、全県的な県民目線の行政評価も検討すべきものと考えます。  持続可能な行財政構造の構築についてですが、まず、私の今回の質問の前提を申し上げますと、平成三十年度当初予算編成に当りましては、昨年九月一日付で財政収支の見通し─仮試算─における七十八億円の収支差、財源不足を公表され、改革の必要性を発信されました。  しかし、平成三十一年度当初予算編成に関しましては、本日まで収支差の仮試算の数字は出されておりませんので、来年度の当初予算編成については財源不足はないものと推察し、またそのことを期待するものであります。  本県の行財政運営戦略の見える化につきましては、数値的には一般財源、扶助費とも示せないとの答弁でありましたけれども、ぜひとも行財政に係る将来数値を推計して、二〇二五年度に及ぶ行財政運営戦略の見える化を図るべきであり、県財政運営の定量目標と期限を県民の皆様に提示して、定性目標の網羅から脱却すべきと考えます。  債務負担行為につきましては、負担総額は五百三十二億円、うち一般財源が二百十一億円との答弁であります。  なお、今議会でも議論されております県の大型箱物の建設費用につきましても、歳出の実態としては新たな債務負担であります。  また、本県の実質的な将来財政負担額としてたしか一兆五千九百億円という数字でしたが、極めて大きな数字でありますので、今後、これらの数字の動向も注視していきたいと考えます。  防災基金条例については、制定するという答弁はなかったと受けとめます。  また災害対応の経費の財源として、財政調整積立基金を充てていくという答弁でした。  防災基金条例の制定については、全国で十三都県という答弁で、私も少し調べまして、例えば高知県で制定されているようでありますが、高知県におきましても、地方財政法第四条の四にのっとり、高知県の財政調整積立基金は当然に災害対応にも充当する規定となっており、その中で高知県はさらに本年、防災対応に特化した政策として防災対策基金条例を制定しているわけであります。  本県と同様に自然災害が多いとされる高知県でできて、なぜ本県では検討されないのかということが、政策として非常に気になっております。  県債管理基金の一般会計分につきましては、過去は平成十九年度に取り崩し、この五年間は取り崩しなしで、今年度末の基金残高は七十四億円との答弁でありました。  一般会計のこの県債管理基金がこれまで手つかずであったことは、本県の財政運営は堅実な財源調整をやってきたと評価できるものでありますが、一方で、見方を変えますと、この虎の子の七十四億円を仮に今後の予算編成において取り崩す事態に至った場合には、本県財政の収支見通しを極めて注意深く見ていく必要があると考えております。  三項目めの質問で、障害者の就業支援についてお尋ねします。  障害者の就業支援について、障害者の持てる知識・能力を伸ばし、就職という自立支援に資する職業訓練を行うことは、さらに重要性が高まっており、時代の強い要請であります。  そこで、今回は、鹿児島障害者職業能力開発校にテーマを絞って質問いたします。  まず、鹿児島障害者職業能力開発校の県障害者計画における位置づけはどのようなものか。  次に、本校の設置経緯と過去三年間の修了生の推移と総数についてお示しください。  次に、募集取り組み等についてでありますが、訓練生の募集は、どの訓練施設でもかなりのエネルギーを要するものと聞いております。  まず、募集取り組みに関し、広報の方法、関係施設の訪問、オープンスクールの取り組みについてお示しください。  そして、本年四月一日現在の訓練科、定員総数、入校者総数、そのうち県外からの入校者数、平均年齢についてお尋ねします。  次に、就職支援についてでありますが、就職支援の取り組みとして関係機関との連携はどのようなものか。  また、訓練生に対する企業からの求人状況についてお尋ねします。  そして、過去三年間の就職率の推移、本県内就職者数の推移と就職先の職種はどのようなものか、具体的にお示しください。  次に、今後の方向性についてお尋ねします。  まず、今後の運営の方向性として、訓練科や定員等の見直しなどの考えはあるのでしょうか。  また、障害者に対する県内各地での委託訓練について、現在の実施状況と今後の方向性をお尋ねします。  次に、九州新幹線と肥薩おれんじ鉄道の利用促進について質問します。  九州新幹線につきましては、平成十六年の部分開業、平成二十三年の全線開業により飛躍的な交流人口の増加を生み出し、本県の県民所得の向上に貢献したとの分析もあります。  一昨年の熊本地震により交通インフラにも甚大な被害が発生しましたが、その後、被災地の災害復旧を進めながら、九州新幹線と肥薩おれんじ鉄道の利用促進についてもさまざまな取り組みがなされてまいりました。  まず、九州新幹線の県内三駅と観光地等との交通ネットワークにおいて、二次交通に関する課題と県としての対応状況をお示しください。  次に、視覚障害者の誘導支援に係るサポート体制についてお尋ねします。  二〇二〇年には、全国障害者スポーツ大会の鹿児島大会が開催されますが、九州新幹線県内三駅における視覚障害者の誘導支援に係るハード面の整備状況をお示しください。  また、ソフト面として、視覚障害者の手引きのマニュアルは策定されているのか。そして、具体的な職員による誘導サポート体制があるのか、お尋ねします。  次に、肥薩おれんじ鉄道の利用促進についてお尋ねします。  肥薩おれんじ鉄道につきましては、県当局、県議会、沿線三市、市議会、民間団体等と一体となりまして、列車の貸し切り利用や、利用促進に向けた沿線三市の住民の皆様との意見交換会、経営支援に係る本省への要望活動を活発に実施してきております。  また、映画「RAILWAYS」シリーズの最新作となる「かぞくいろ」が上映予定であり、本年は肥薩おれんじ鉄道がなお一層の注目を集めることとなります。  そこでまず、肥薩おれんじ鉄道のラッピング車両につきまして、現在の運行状況をお尋ねします。  次に、来年度以降、二〇二〇年鹿児島国体・大会のラッピング車両を運行してはとのアイデアが、住民の皆様との意見交換などで出されていますが、見解をお示しください。  最後の質問になりますが、子供・子育て支援関連で助産師の育成支援について質問いたします。  子育て支援に関しましては、本年三月の予算特別委員会でも質問しましたが、知事におかれましては最重要政策の一つとして位置づけられ、予算の重点配分がなされ、評価するものであります。  今回の助産師の育成支援につきましては、平成二十七年十二月議会で質問しておりますが、その後の県当局の取り組みと成果、進捗についてお尋ねします。  まず、助産師の確保についてですが、近年の助産師の数の動向はどのような推移か。  また、鹿児島市への助産師の集中による地域偏在が言われておりましたが、現状はどのようなものでしょうか。  助産師確保と地域偏在解消について、これまでの取り組みと今後の方向性をお示しください。  次に、助産師の育成支援についてお尋ねします。  まず、助産師学校・養成所の学生・生徒に対する奨学金制度について、県と市町村の内容と推移をお尋ねします。  次に、助産師の派遣・研修体制について、県と県助産師会、県看護協会、関係病院との連携はどのようになされているのか。  次に、産後ケアについてお尋ねします。  産後ケアについて、本県のかごしま子ども未来プラン二〇一五における位置づけはどのようなものでしょうか。  次に、国の産後ケア事業について、平成二十七年度から二十九年度に実施している市町村数、延べ利用者数、助産所の数の推移について。  国の産後ケア事業の対象となる助産所の基準はどのようなものでしょうか。  最後に、国の産後ケア事業の課題認識と、本県としての今後の事業促進の方針について見解をお示しください。  以上で、二回目登壇の質問といたします。 10 ◯商工労働水産部長(田崎寛二君)障害者の就業支援について、鹿児島障害者職業能力開発校に関するお尋ねのうち、まず、同校の県障害者計画における位置づけについてであります。  県では本年三月に、新たな鹿児島県障害者計画を策定したところであり、同計画において、鹿児島障害者職業能力開発校は、障害のある人のニーズに配慮しながら、知識・技能の習得等を支援する機関として位置づけられております。  同校の設置経緯と修了生数の推移及び総数についてであります。  同校は、障害のある方の障害の態様に配慮した職業訓練を実施するため、昭和四十三年に国が設置し、委託を受けて本県が運営してきております。  直近三年間の修了生数は、就職に伴う退校者も含め、平成二十七年度が七十五人、平成二十八年度が五十五人、平成二十九年度は七十三人、計二百三人となっております。  同校の訓練生募集の取り組みについてであります。  広報活動につきましては、平成二十九年度においては、入校案内等を作成し、九州・沖縄各県の県関係機関、教育関係機関、ハローワーク等の国関係機関、市町村関係機関、福祉機関・団体等、八百四十カ所に配布したほか、県ホームページ、テレビ等を活用した広報を行うとともに、本県、熊本県及び宮崎県に所在するハローワーク、特別支援学校、高等学校等、百四十一カ所を訪問しております。  また、オープンスクールについては、本年度は八月二十六日に実施し、五十四人の参加があったところであります。  なお、本年度から、入校試験の一部について、奄美大島、熊本県及び宮崎県の会場でも実施することとしたところであります。  同校の訓練科、定員総数、入校者総数、県外からの入校者数、平均年齢についてであります。  平成三十年四月一日現在の訓練科は、情報電子科、デザイン製版科、建築設計科、義肢福祉用具科、OA事務科、アパレル科、造形実務科の七科であり、定員総数は百人、入校者総数は六十七人、そのうち県外からの入校者数は十三人、入校者の平均年齢は三十三・九歳となっております。  同校の就職支援の取り組みにおける関係機関との連携についてであります。  同校は、ハローワークと連携を図り、県内だけでなく県外からも求人情報の提供を受けるほか、各地区の障害者就職面接会に訓練生が参加しております。また、同校にハローワークや障害者就業・生活支援センターの担当者を招いての就職相談会を実施しております。  そのほか、障害者就労支援ネットワーク会議、障害者就業・生活支援センター連絡会議、薩摩川内市の自立支援協議会等に職員が参加し、障害者の就労支援に携わる各関係機関との緊密な連携を図っております。  さらに、本年六月には、薩摩川内市企業連携協議会が開催いたしました学校と企業の情報交換会にも職員が参加し、参加企業各社と障害者就職に関する情報交換を行ったところであります。  企業からの求人状況についてであります。  直近三年間の求人数は、各年度の三月末時点の累計で、平成二十七年度が百六十四人、平成二十八年度が七十一人、平成二十九年度が百三十八人となっており、いずれの年度も修了予定者数を上回る求人数となっております。  同校の就職率及び県内就職者数の推移並びに就職先の職種についてであります。  直近三年間の就職率については、平成二十七年度が八一・九%、平成二十八年度が八九・四%、平成二十九年度が八一・七%であり、県内就職者数は、平成二十七年度が五十一人、平成二十八年度が三十六人、平成二十九年度が四十六人となっております。また、就職先については、一般事務のほか、工場のマシンオペレーター、小売店の販売員、介護施設の介助員、病院の事務補助、ホテルの客室管理などであります。  同校の今後の方向性等についてであります。  訓練内容につきましては、これまで、訓練生の就職促進を図るため、義肢福祉用具科等において、介護職員初任者研修の資格取得のための講座を実施するなどの見直しを行っております。また、同校が実施する委託訓練については、本年度は、パソコン事務科等の十三コースについて県下各地域で実施することとしております。  企業等に委託し、作業実習などを主な訓練内容とする事業主委託訓練コースについては、多様な業種での訓練ができるよう、委託先となる企業の開拓に努めております。  今後とも、障害特性やニーズに応じた訓練を実施し、障害のある方の就職促進を図ってまいります。 11 ◯企画部長(古薗宏明君)九州新幹線停車駅からの二次交通に係る課題と対応についてであります。  九州新幹線の各停車駅からは、JR在来線や肥薩おれんじ鉄道のほか、鹿児島空港や主要な港などへの直行バス、市内循環バス、観光周遊バス等が運行されております。
     さらなる誘客促進を図るためには、二次交通アクセスの改善や利用者利便の向上を図る必要がありますことから、タクシー・レンタカーの割引や沿線ガイドマップの作成、鹿児島中央駅では、動画によるバス乗り場までの道案内等の取り組みを実施しております。  県といたしましては、引き続き、既存の公共交通機関の維持・確保を図りますとともに、さまざまな移動手段も組み合わせながら、関係者と一体となって、二次交通アクセスの改善等に取り組んでまいります。  九州新幹線停車駅における視覚障害者のサポート体制についてであります。  駅における視覚障害者のサポートに関しましては、国において、バリアフリー法に基づく施設基準や障害者差別解消法に基づく対応指針が示されており、JR九州においては、これらの内容を踏まえた対応がなされていると聞いております。  具体的には、県内の三駅全てにおきまして、ハード面では、点状ブロックや点字つき券売機などを整備するとともに、ソフト面では、介助マニュアルに基づいて、係員が乗客への声かけやホームまでの案内、列車の乗降の手伝いなどを実施していると聞いております。  肥薩おれんじ鉄道のラッピング列車の運行状況についてであります。  同鉄道におきましては、ラッピング列車による集客や広告収入の確保に取り組んでおり、現在、九種類の列車を一日当たり約五十便運行しております。また、その運行ダイヤをホームページに掲載し、情報提供にも努めております。  なお、御質問にありましたとおり、同鉄道を舞台として制作された映画「かぞくいろ」が十一月三十日に全国公開されますことから、沿線地域への誘客等の機運を高めるため、この映画を宣伝するラッピング車両の運行を予定していると聞いております。 12 ◯国体・全国障害者スポーツ大会局長(中堂薗哲郎君)肥薩おれんじ鉄道の国体・大会ラッピング車両の運行についてでございます。  国体・全国障害者スポーツ大会の広報活動につきましては、今年度、二年前イベントの開催、カウントダウンボードの設置等を行いますほか、広報紙カゴスポの発行、SNSなどの広報媒体を活用した情報の発信やPRに取り組んでおります。  ラッピング車両の運行につきましては、不特定多数の方々へのPRが可能であり、鹿児島国体と大会の周知や開催機運の醸成に寄与するものと考えております。県といたしましては、国体・大会の先催県における導入状況なども踏まえ、広報活動の一環として、肥薩おれんじ鉄道の車両へのラッピング広告掲載につきましても検討を進めてまいりたいと考えております。 13 ◯くらし保健福祉部長(中山清美君)助産師の育成支援に関して、まず、助産師の確保についてでございます。  県内の就業助産師数は、平成二十八年十二月末現在で五百九十八人で、この五年間で七十二人増加しております。一方、約六割の三百五十四人が鹿児島市で就業しており、地域的偏在が見られるところであります。  助産師の確保については、助産師養成所への運営費補助、未就業等の助産師に対する研修、修学資金の貸与などにより、県内への就業促進や質の向上に努めております。  また、地域的偏在の解消については、鹿児島市以外への就業を要件とする特別修学資金の貸与、医療施設間での助産師の出向・受け入れの調整、助産師確保を行う市町村等への財政支援なども行っております。  県としては、これらの取り組みを着実に推進し、今後とも、関係機関や市町村等と一体となって、助産師の確保や地域的偏在の解消に努めてまいります。  次に、助産師の育成支援でございます  県の修学資金制度は、卒業後一年以内に免許取得し、県内の対象施設で五年または三年勤務すると返還を免除するものでありまして、毎年度、四人程度に貸与しております。  市町村では、平成二十八年度以降に新たに十市町が単独または共同で助産師等を対象とする奨学金の貸与制度を設け、現在、県全体で十五市町が貸与を実施しております。  助産師の派遣・研修体制については、県、県医師会、県助産師会、県看護協会及び実習施設などから構成される協議会を設置し、助産師の出向・受け入れの調整などを行っており、また、県看護協会と協議しながら、未就業等の助産師に対する研修を実施しているところであります。 14 ◯子育て・高齢者支援総括監(地頭所 恵君)産後ケアの位置づけについてでございます。  出産直後に母子への心身のケア、育児のサポートなどを行う産後ケアについては、かごしま子ども未来プラン二〇一五において、妊娠期の健康管理から産後ケアの推進など、妊娠、出産、産後における切れ目のない支援が提供できる体制を推進することとしており、その具体的な取り組みとして、産後ケアについての情報発信や市町村における取り組みの促進に努めることとしています。  同プランでは、産後ケアの事業に取り組む市町村数を平成三十一年度までに二十市町村とする数値目標を掲げており、今年度、既に目標を達成しているところです。  次に、産後ケア事業の実施市町村数等の推移についてでございます。  国の補助事業である産後ケア事業を実施している市町村数と延べ利用者数については、平成二十七年度は二市で千百二十八人、平成二十八年度は五市で千七百九十八人、平成二十九年度は十五市町村で二千二百四十三人となっています。  この事業は、市町村が病院や助産所等に委託して実施しており、お尋ねの事業を受託している助産所の数は、平成二十七年度は三カ所、平成二十八年度は五カ所、平成二十九年度は六カ所となっています。  次に、産後ケア事業の補助対象の基準についてでございます。  国の産後ケア事業は、病院、助産所等に宿泊させて産後ケアを行う宿泊型、来所させて産後ケアを行うデイサービス型、居宅を訪問して産後ケアを行うアウトリーチ型の三種類の実施方法が設けられています。  国の要綱では、助産所等の施設ごとではなく、三種類の実施方法ごとに産後ケアの基準が示されており、このうち、具体的に必要な設備等の基準が示されている宿泊型については、利用者の居室、カウンセリング室、乳幼児保育室などの設備を有する施設であること、二十四時間体制で一名以上の助産師等の配置が可能であることなどが示されております。  次に、産後ケア事業の課題と今後の方針についてでございます。  県としては、産後ケア事業の推進に当たっては、妊産婦等への周知や市町村の取り組みの促進が重要であると考えております。妊産婦等への周知については、県のホームページで、産後ケアの必要性や、県内の助産所での産後ケアについての情報発信を行ってまいりました。市町村の取り組みの促進については、市町村職員や助産師等が参加する研修会や母子保健担当者連絡会等を通じて、産後ケアの取り組みに関する講演や情報交換を行ってまいりました。  今後とも、産後ケアに関する周知に努めるとともに、より多くの市町村が国の補助事業を活用するなどして産後ケア事業に取り組むよう、助言等を行ってまいります。    [田中良二君登壇] 15 ◯田中良二君 それぞれに御答弁いただきました。  まず、障害者の就業支援についてですが、国立県営となります鹿児島障害者職業能力開発校につきまして、求人状況が平成二十七年度から二十九年度の推移として、百六十四人、七十一人、百三十八人といずれも高い求人率であるという答弁でございました。  そして、具体的な就職率につきましても、平成二十七年度が八一・九%、平成二十八年度が八九・四%、平成二十九年度は八一・七%といずれも高い率で推移しております。  引き続き、訓練生の募集、就職支援を幅広く進めて、県障害者計画に位置づけられました機能を十分に発揮し、充実させていただきたいと思います。  次の九州新幹線の利用促進に関しまして、県内三駅における二次交通につきましては、県内外の観光客、来年のインターハイ、二年後の鹿児島国体、あるいは修学旅行による多くの来訪者を円滑に受け入れるために、答弁にありましたように、関係機関と連携していただき、少しでも改善を図っていただくようお願いいたします。  視覚障害者の誘導支援に係るサポート体制につきまして、二年後の全国障害者スポーツ大会の鹿児島大会における円滑な手引き・誘導について、介助マニュアルが策定され、それに沿った対応がされているということでございました。  九州新幹線を含めて、全県的な認識と対応が求められるものであります。  肥薩おれんじ鉄道の利用促進に関し、ラッピング車両につきまして、「かぞくいろ」のラッピング車両の運行予定があるという答弁でございました。  鹿児島国体のラッピング車両の運行につきましては、半世紀ぶりに迎えます鹿児島国体の受け入れ体制として、十分推奨に値するものであります。  答弁にございましたように、PRに寄与するものでありますので、前向き以上に踏み込んで検討して、具体化を望むものであります。  また、このラッピング車両につきまして、車体広告の収入確保は肥薩おれんじ鉄道の経営支援にも資するものであります。  最後の質問項目、助産師の育成支援につきまして、国の産後ケア事業には、宿泊型、デイサービス型あるいはアウトリーチ型というのがあり、実施している市町村数、答弁にございましたように、平成二十七年度が二市、平成二十九年度十五市町村。利用者数が平成二十七年度千百二十八名から、平成二十九年度は二千二百四十三名。助産所の数も平成二十七年度が三カ所、平成二十九年度が六カ所ということで非常に増加傾向にあり、子育て支援に資するものと考えております。  産後ケアなど子供・子育て支援の施策は、地方創生の原点であります。助産師の確保、地域偏在の解消に向けた取り組みとあわせまして、引き続き、産後ケア事業の促進に努めていただきたい。  最後になりますが、今回の一般質問では、本年三月のかごしま未来創造ビジョン策定と、八月の知事マニフェストの進捗状況の公表を踏まえまして、行政評価を切り口に質問いたしました。  施策・事業の展開におきましては、短期・中期・長期の仕分けとタイムリーな行政評価の実施、そして、県民の皆様、県議会に対する説明責任を果たしながら、数多い部門別の基本計画や行財政運営戦略かごしま未来創造ビジョンを乖離させることなく、ビジョンを基本とした総合的な計画行政を引き続き実行していただきたい。  私は本年で県議十二年目になりますが、この間さまざまな行財政改革を続ける中で、県議会が、議決権の行使など二元代表制の一翼としての権能を果たしてきた結果として、現在の本県の行財政構造があることを考えますと、県議会議員として、現在と将来にわたり当局と連帯した責任を負うべき立場にあることを肝に銘じながら、今回の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 16 ◯議長(柴立鉄彦君)次は、前野義春君に発言を許可いたします。    [前野義春君登壇](拍手) 17 ◯前野義春君 おはようございます。  本日は、私の地元鹿屋市川西町から、町内会役員の皆さん方あるいは自主防災会の皆さん方が防災研修の一環でこの県議会傍聴にも来ていただいております。  早速ですけれども、通告に従って質問してまいります。  まず、知事への質問であります。  三反園知事が就任されて二年が経過しました。知事はこの間、フットワークよく県内各地を駆け回り、知事と語ろう車座対話を初め、県民の生の声を聞く取り組みを重ねておられます。行動は、県内だけにとどまらず県外や海外も含めて、県産物のPRなどトップセールスや交流人口の拡大、インバウンドの促進に向けた精力的な取り組みを評価する県民の声を耳にします。  さて、知事の県内での行動は、そのほとんどが車での移動であります。どうでしょうか、離島を含めて県内各地を回る中で、県土の基盤となる道路事情について率直な感想をお聞かせください。  また、県内には、高速道などの高規格幹線道路を補完する幹線道路として、地域高規格道路七路線が指定されています。いずれも、候補路線として平成六年十二月の同時指定であります。県都の鹿児島市、薩摩・大隅両半島、北薩、そして隣県熊本・長崎とを結ぶ連絡道などであります。それぞれの路線計画が示された地域では、行政や経済界を初め、整備促進を望む声は後を絶ちません。日常的に知事への要望も多いと考えます。  道路は、自立、振興・発展、活性化、地域間の連携を支える最重要なインフラであることは言い尽くされたことであります。県では、県土の均衡ある発展を目指し、平成六年に七路線の一括指定を受け、順次着手してきたものと考えます。  知事、指定から二十四年を迎える今日の路線ごとの整備水準はどうでしょうか。  南薩縦貫道など、現道利用も含めて完成、都城志布志道路、北薩横断道路などは複数区間で供用、残り区間も複数区間で鋭意整備が進められ、完成間近であります。大隅縦貫道の整備率は、現道活用を含めても四割程度にとどまり、このような整備状況は、県民からは明らかに格差としか映りません。  知事におかれては、昨年十二月九日に南大隅町で行われた大隅縦貫道整備促進決起大会に指宿から駆けつけていただきました。山川、根占を結ぶフェリーが急遽欠航となり、鹿児島、垂水を経由して大会終了間際での会場入りでした。開口一番、「大隅は遠かった」、「大隅半島の道路整備の重要性を痛感した」、「大隅縦貫道などの整備をしっかりやる」とコメントされ、約七百人の参加者から強い期待を込めた喝采を浴びられました。  そこで、平成六年に地域高規格道路として同列に県が位置づけ、指定された路線の整備が、今日では格差と映る現状について、知事の認識と対応を聞かせてください。  鹿児島産養殖カンパチの生産量は日本一を誇り、全国シェアの五割、一万六千トンを占めております。  広大な錦江湾では、桜島、鹿屋市古江、垂水市海潟・牛根、南大隅町根占などで養殖が盛んに行われています。カンパチの稚魚は、その多くが中国海南島付近でとれた天然物を購入し、ほぼ三年間養殖、成魚まで育てます。本土最南端に位置する錦江湾は、カンパチなどの生育環境にすぐれ、平均水温は二十二・四度、湾内の潮流が比較的速く、新鮮な海水が常に循環するなど、与える餌のほかにも天然プランクトンが豊富に流れ込む好条件で、養殖場として格好の漁場環境と言われます。  八月上旬の浜値では、三年魚がキロ当たり千五十円から千円で推移しております。採算ラインと言われる九百円を若干上回る相場と聞きます。  こうした養殖業の拠点となる漁業協同組合は、当然ですが、各港に本所を置き、養殖業など数々の漁業活動の拠点となっています。この拠点の港には、本来の漁業目的の漁港と、漁業にとって目的外とも言える商港たる港湾での営みがあります。同じ漁業活動を営む中でも、漁港と港湾では、漁協の施設である組合本館、加工施設、荷さばき場、船揚げ場などは、管理者である県の使用許可や占用許可を得た上での使用が行われています。  鹿屋港と垂水市の海潟漁港、距離はわずか数キロメートルと近接しておりますけれども、いずれも県が管理する港湾と漁港であります。両港とも、カンパチを主とした養殖業が盛んであります。しかし、両港の使用実態は、建物や加工施設、荷さばき場、野積み場など、ほぼ同様でありますけれども、同じなりわい、同じ県有地にもかかわらず、その使用料には約三倍の違いがあります。  鹿屋港の使用料は、土地造成費や港湾建設費をもとに算定、一方の海潟漁港は、垂水市の固定資産税評価額をもとに算定されています。当然ですが、鹿屋港の使用料は、施設用地、野積み場を合わせて年間一千四百九十六万円と高額であります。  知事、このような鹿児島が誇るカンパチ養殖の生産現場の実態を十分に認識していただき、県有地の港湾使用料の平準化に向けた取り組みは知事の英断で事態が改善すると考えますが、今後の対応について所感を聞かせてください。  二〇二〇年の東京オリンピック聖火リレーにつきましては、本県での日程が四月二十八日と二十九日の二日間で、宮崎県から引き受け、沖縄県に引き継ぐことが発表されました。  聖火リレーには、県民の各層から成る老若男女を初め、次世代を担う多くの子供たちの参加を得て、参加者の貴重な体験とオリンピックへの機運醸成、そして鹿児島国体へと盛り上がりが高まることが求められます。  昭和三十九年の東京オリンピック以来、半世紀ぶりのオリンピック聖火リレーの日程割も、前回と同じ、わずか二日間、離島や両半島から成る本県の地理的条件からはいたし方ないと考えるものですが、前回のオリンピック聖火リレーでも、離島や大隅半島はコースから外れました。オリンピックは世界最大規模のイベントであり、本土最南端佐多岬を出発点とすることで、鹿児島、大隅を広く世界に発信する今度こそ絶好の機会であります。佐多岬の再整備も終わり、文字どおり日本本土の最南端として、風格、風貌も申し分ないロケーションが整っています。  今回の東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーに、最南端佐多岬を出発点としてコース設定してほしいとして、先月末には大隅総合開発期成会から知事へ強い要望が行われたと伺っております。  そこで、大隅地域の熱い期待と要望実現に向けた知事の力強い決意を聞かせてください。  以上で、一回目の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 18 ◯知事(三反園 訓君)県全体の道路整備状況に対する認識についてであります。  本県は、半島地域や多くの離島など広大な県土を有しております。この二年余り、県内のさまざまな地域を回り、陸・海・空の広域交通ネットワークなど、社会資本の整備が重要であると改めて感じたところであります。  その中でも、移動手段を自動車交通に大きく依存している本県にとりまして、道路交通ネットワークの構築は重要であります。本県の骨格をなす高規格幹線道路や地域高規格道路につきましては、着実に整備が進んでいるところでありますが、いまだミッシングリンクが残っているなど、整備がおくれているとも感じております。知事と語ろう車座対話などを通じ、地域の方々からも多くの御要望をいただいておりまして、道路整備はまだまだ必要であると強く感じております。  県といたしましては、今後とも、産業の振興、地域の活性化、県民生活の安心・安全の確保を図る観点から、引き続き、必要な道路の整備を着実に全力で進めてまいりたいと考えております。  地域高規格道路の整備水準格差の認識についてであります。  地域高規格道路につきましては、県においてこれまで、都城志布志道路、北薩横断道路、大隅縦貫道、南薩縦貫道の四路線の整備を進めてきているところであります。  地域高規格道路は、高規格幹線道路と相まって広域的な幹線道路ネットワークを形成するものであり、都市や空港、港湾等の拠点をどのように結ぶかということを考えながら整備を進めておりまして、いずれの路線についても、本県の骨格をなす重要な路線であると認識しております。  大隅縦貫道は、農業や観光の振興を図る上で重要な道路であり、昨年十二月、整備促進決起大会に出席いたしまして、地元の皆様の熱い思いを直接伺ったところであります。  大隅縦貫道を初めとする地域高規格道路は、広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な道路でありますことから、早期完成に向けまして、整備に必要な予算確保に努め、今後とも引き続き、地元市町と連携を図りながら、重点的な整備に努めてまいります。  東京二〇二〇オリンピック聖火リレーのコース選定の取り組みについてであります。  本県での聖火リレーは、再来年の四月二十八日と二十九日の二日間で実施することとなっておりまして、県内のルート等を検討するため、先月二十四日に、東京二〇二〇オリンピック聖火リレー鹿児島県実行委員会を設置したところであります。  私としては、多くの県民の皆様にさまざまな形で聖火リレーに参加していただきたいと考えております。特に、次の世代を担う子供たちに数多く参加してもらい、県全体が盛り上がり、その風景が子供たちの記憶に残るような聖火リレーとなるよう、準備を進めてまいります。 19 ◯土木部長(渡邊 茂君)港湾施設用地使用料の平準化に向けた知事の英断についてでございます。  県が管理する港湾施設用地使用料は、土地造成費等をもとに設定しており、その利用に対しては、港湾管理条例に基づき、使用者に平等に負担していただいているところであります。一方、漁港は、港湾施設と異なり、隣接する宅地の固定資産税評価額をもとに設定されております。  このようなことから、漁業関係者の利用形態が同様であるとしても、港湾と漁港で使用料が異なっているところであり、港湾施設用地使用料を漁港並みに平準化することは考えておりません。 20 ◯前野義春君 自席から再質問させていただきます。  知事、一般論はわかるんですよ。大隅縦貫道の整備格差というのを私はさっきから言っているんです。そのことについてのお答えが一切ない。総論だけ言われている。  道路建設課が作成した資料がここにあります。平成二十五年度から三十年度まで六年間の事業費推移を示したものでありますけれども、これによりますと、北薩横断道路が二百十九億円余り、完了した南薩縦貫道が百二十五億円、都城志布志道路で二百十五億円、大隅縦貫道がこの六年間で三十九億円です。大隅縦貫道を一とした場合に、ほかの路線の投資額がこの六年間で三倍から五倍の格差が出てしまっている。そのことについて、同僚議員の皆さんや県民の皆さんはどう思われますか。  公平で公正な県政の執行は何よりも優先すると思います。こうした実績をお示ししました。この投資額の差について、知事、どう思われますか。  もう一点、畜産基地や佐多岬の再整備、これは県と環境省にしていただきました。雄川の滝の国立公園編入なども、最近発表されました。大隅縦貫道の整備の優先度には、今申し上げましたようなことは加味されないのか。事業費が三倍も五倍も違う現状について、再度知事の考えを伺います。 21 ◯土木部長(渡邊 茂君)地域高規格道路の近年の五、六年の合計予算を前野議員が示され、予算配分についてお尋ねがあったと思います。  地域高規格道路の路線ごとの事業費についてですが、各路線における地形や地質、それから事業区間ごとの事業内容、またその事業の進捗状況等によって所要の予算配分をしているところであります。
     大隅縦貫道について申し上げれば、平成二十六年に鹿屋串良道路が完了し、平成二十七年から吾平道路に事業着手しているところですが、この六年間、埋蔵文化財調査等で全面的な事業展開ができなかった結果であると考えております。 22 ◯前野義春君 後でまた出てきますから、またしっかりやらせていただきます。  知事の答弁はいただけないのか。二年ですからしょうがないでしょう。  どうぞ答えてください。 23 ◯知事(三反園 訓君)今、渡邊土木部長が答弁しましたとおり、埋蔵文化財その他ということもあります。ただ、先ほども答弁いたしましたけれども、大隅縦貫道は大隅地域の骨格をなすものでありまして、農業もそうですけど、今、御指摘のありました雄川の滝も含めて、観光の面からも非常に重要な道路という認識は持っておりますので、引き続き重点的な整備に努めてまいりたいと考えております。    [前野義春君登壇] 24 ◯前野義春君 それぞれ一応答弁いただきました。  きょうは傍聴も来ていらっしゃいますけれども、何も土産もなしという知事からの答弁になったと私は思っておりますので、今後もこの問題については執拗に取り上げていきたいと思っています。  渡邊部長、港湾管理者の認識はそうですよ。あなたの守備範囲はそうなんです。しかし、同じような漁協が、全く同じ養殖業に取り組んでいるんです。これがたまたま漁港と港湾に分かれていただけなんです。一生懸命養殖業を奨励されますよ、しかし、この生産コストは魚の価格には反映されないんです。なぜか。市場主義をとっているからです。自分で値段が決められないんです。  そういうことがあるので、港湾と漁港の使用料を、安いほうの漁港に、同額とは言わないけれども、平準化できないかと私は言っているんです。全く血が通っていません。  次の質問に入っていきます。  昨年の第十一回全国和牛能力共進会からはや一年がたちます。団体総合一位を獲得して、四年後の全共鹿児島大会に向け、行政機関やJA、畜産農家の二連覇に向けたさまざまな取り組みや努力を目にいたします。  申すまでもなく、全共日本一の成果の陰には、県の肉用牛改良研究所の種牛づくりはもとより、肉用牛の改良、改良された種牛の凍結精液の供給や、農業開発総合センター畜産試験場での子牛の発達段階に応じた飼養管理技術のマニュアル化など、関係職員の日々熱心な一貫した取り組みがあったことを忘れてはならないと思います。  こうした技術研究の成果は、県や市町村、農協などの技術員の手によって畜産農家に普及・伝授され、盛んな畜産業を支え、そして何よりも、勤勉な農家のたゆまぬ努力があることは言うに及びません。  四年後の鹿児島全共に向けては、早速、県の技術員、市町村、肉改研、畜産試験場、経済連や登録協会などのチーム鹿児島が一堂に会して、十一回全共総括会議・意見交換会も開催されたと伺います。また、全共の審査員を招聘した勉強会など、時宜を得た効果的な取り組みであると評価するものです。  昨年の大会で鹿児島県が総合優勝に輝いたわけですけれども、九州では、他に宮崎・大分県が部門一位を獲得し、競争激化は既に始まっております。  県の肉改研は、研究部門とあわせて、出品者、生産者の立場もあります。全共九部門のうち、第一区、若雄の部では、肉改研が所有する金華勝が優等賞一席を獲得、総合優勝に貢献しました。名実ともにトップランナーとしてかごしまブランドを確立・維持するためには、消費者ニーズに応える肉質の改善、飼養管理技術、生産コストの削減、候補牛の選定など、引き続き課題は山積しております。  現状に甘んずることなく、肉改研や畜産試験場などの、常に計画的な人材確保と人材育成・拡充が何より重要と考えます。そして、一朝一夕にして達成できない牛との信頼関係は、日常的に牛と向き合う技術補佐員の役割が重要と聞きます。熟練や豊富な経験が、求められる成果を左右すると言っても決して過言ではないと考えます。  そこで、試験研究機関での人材確保や育成・拡充の現状と今後の取り組みを具体的にお示しください。  次に、子牛生産の現状に目を転じますと、競り価格の高騰が生産現場を活性化し、農家の生産意欲が高まっている中で、一方では、子牛を購入して育成する肥育農家の悲鳴も聞こえてきます。  和牛子牛価格の現状と今後の見通し、肥育農家の経営状況及び、国や県の経営安定に向けた対策について明らかにしてください。  先ほども知事に質問しましたけれども、改めて、地域高規格道路について詳しく質問させていただきます。  この問題を執拗に取り上げていきます。と言うよりも、取り上げざるを得ないと言ったほうが妥当であります。大隅地域の人口減少と高齢化率は県内でも上位であります。何とかしないと、このままではいかん。地域の疲弊や過疎化にますます拍車がかかり、手の打ちようがなくなる。こうした地域の長年の思いや、みずからの強い思いからであります。  私は、ことし三月、予算特別委員会でも、地域高規格道路の指定要件や大隅縦貫道の位置づけ、複数区間整備への課題、他の路線との整備水準格差など、基本的な質問をしてきました。こうした経緯の中で、きょうもそうでしたけれども、執行部の答弁を私なりに分析して、一層掘り下げて質問してまいります。  過去五年間の地域高規格道路、北薩、南薩、都城志布志、大隅の四路線での事業費は、平成二十五年の百三十一億五千万円を最高にして、昨年まで、ほぼ百億円ベースを確保して整備が進められています。  そこで、改めて伺いますけれども、平成三十年度に整備する路線ごとの事業費、事業内容と整備延長ベースの整備率を明らかにしてください。  予算特別委員会での土木部長答弁によりますと、どうも、「国から指定を受け」とか「国から指定された区間」などと強調されています。国を前面に出した答弁が、私には他人事のように聞こえてなりません。確かに、国の指定がなければ事業費の箇所づけもされません。私が強調したいのは、国から指定される前の段階、つまり、国の指定に向けた県の取り組みの本気度なんです。本気度を指摘しているんです。わからないはずはないと思います。  大隅縦貫道について、予算特別委員会では、「県として、整備のプライオリティーや調査の熟度、地域活性化への効果等を勘案し、区間を定めて整備区間の指定を受けて所要の事業を実施している」と土木部長は答弁されました。裏返しますと、大隅縦貫道の整備は、優先度も、調査の熟度も、地域活性化への効果も薄い、低いということになります。  先日、県畜産課に、大隅半島南部に位置する南大隅町及び錦江町の家畜の飼養戸数と頭数などを伺いました。これによりますと、肉用牛を二百八十五戸で一万二千八百四十頭、養豚にあっては三十三戸、十一万七百頭、養鶏では二十五戸、百三十万八千羽を飼養しているとのことであります。この地域が、本県でも指折りの畜産業が盛んな環境と地域であることがわかります。  肉用牛や肉用豚、ブロイラーなど、屠殺・精肉工場は一カ所もなく、一般県道の鹿屋吾平佐多線を利用して、最も近い鹿屋市までが四、五十キロメートル、さらに遠距離の肝付、志布志、末吉、鹿児島と続きます。ここまで輸送・運搬することは当然の話であります。輸送経路が遠い、そして狭い、急坂・急カーブが連続するなどで、出荷する家畜にも悪影響が出てきます。輸送中の圧死やストレスによる損失が絶えないと聞きます。  こうした日本の食の一端を支える活発な畜産業は、地域高規格道路整備の優先度には考慮されないのか。何をもって熟度や優先度を判断されるのか、県の考え方が全くわかりません。  そこで伺います。  調査の熟度という話をされました。熟度が低い理由と、調査は県が主体でなすべきですけれども、これまでに何をどう取り組んできたのか、明確に答えてください。  他の路線に比べて優先度や地域活性化への効果が薄いと認識されていることになるわけです。こうした理由を具体的に答えてください。  大隅半島は、豊かな自然、日本の食料基地、有数の農業・畜産基地、大いなる発展可能性を秘めているとよく形容されます。しかし、その発展可能性も、基幹道路など一定程度の社会資本整備が整ってこそであります。新幹線開業効果も観光客の入り込みも、対岸の花火としか映りません。行程の選択肢がない、行程時間の計算ができないなど、致命的とも言える最大のネックがあるわけであります。地域自治体などで構成する大隅総合開発期成会では、県知事への要望を初め、各省庁への要望を毎年毎年繰り返しています。  大隅地域は、大隅縦貫道などの整備促進に向け、今後、何をどうすればいいのか、地域の責任と言えるのか、見解を示してください。  最後に、地域高規格道路の整備予算の確保は、県政の重要な課題であります。知事を初め、県選出国会議員の皆さんの積極的な取り組みは欠かせません。ある国会議員は、「県の整備計画路線や箇所が国に要望されないと、我々は動きようがない」とこぼされますよ。  他の路線の整備が進んでいく過程の中で、前年度や前々年度並み以上の事業費確保の努力が必要と考えるものですが、現状の事業費水準を維持・確保するためにも、おくれをとる大隅縦貫道など、新たな整備区間を策定する必要があると考えますが、所見を伺います。  以上、二回目の質問とします。 25 ◯農政部長(本田勝規君)全共に向けた試験研究機関での人材確保等の取り組みについてでございます。  第十二回全共鹿児島大会に向けた出品対策を強化するためには、畜産試験場や肉用牛改良研究所の役割が重要と認識しております。このため、これらの試験研究機関においては、生きた牛の肉質を推定する超音波肉質診断技術の精度向上と、その技術の若手職員への伝承に取り組むとともに、牛肉のおいしさに影響するオレイン酸やうまみ成分の解析手法を国の試験研究機関で習得させるなど、専門的知識や高い技術力を持った人材の育成に努めているところであります。  また、肉用牛改良研究所に今年度から、出品対策を補佐する職員一名を配置したところであります。  今後とも、鹿児島黒牛のさらなる出品対策の強化を図るため、必要な人材の確保・育成に努め、第十二回全共鹿児島大会での連覇を目指してまいります。  肉用子牛価格の現状及び今後の見通しと肥育農家の経営状況及び経営安定対策についてでございます。  本県の子牛価格については、平成二十一年に三十六万一千円まで落ち込みましたが、それ以降は上昇し、平成二十八年には過去最高の七十九万六千円を記録いたしました。その後は若干低下したものの、直近の平成三十年七月は、七十四万八千円で取引されたところであります。  なお、子牛価格は、枝肉相場や景気動向等に左右されるため、今後の見通しについては不透明でありますが、子牛取引頭数の大幅な増加は見込まれないことから、当分の間は現状程度で推移するものと考えております。  一方、最近の枝肉価格は、一年前とほぼ同水準であり、おおむね堅調に推移しているものの、現在出荷されている肥育牛の素牛価格は、一年前より約十四万円高い八十四万円となるなど、生産コストが増加し、肉用牛肥育農家の収益性は悪化しております。  肥育農家の経営安定を図るため、収益性が悪化したときに、生産者と国の積立金により造成した基金から粗収益と生産費との差額の九割を補填する肉用牛肥育経営安定特別対策事業、いわゆる牛マルキン事業が措置されております。  なお、県では、肥育農家の負担軽減を図るため、生産者積立金の一部を助成しているところでございます。 26 ◯土木部長(渡邊 茂君)地域高規格道路整備についてのうち、地域高規格道路の整備状況でございます。  地域高規格道路につきましては、現在、県において、大隅縦貫道など三路線、七区間の整備を進めているところであります。  本年度における路線ごとの事業費、事業内容及び供用率については、まず、北薩横断道路は、事業費が約十九億九千万円、この中で測量設計や用地買収及び工事などを進めることとしており、供用率は三〇%となっております。また、都城志布志道路は、約三十七億一千万円で、全線にわたる工事などを進めることとしており、供用率は五七%。大隅縦貫道は、約四億五千万円で、用地買収や工事などを進めることとしており、供用率は四四%となっております。  続きまして、大隅縦貫道に対する県の認識及び事業展開についてでございます。  地域高規格道路の事業化に当たっては、県において、整備のプライオリティー、調査の熟度、地域活性化への効果等を勘案して、区間を決定しているところであります。なお、事業推進に当たりまして、地元の市町の要望、また協力は重要であると考えております。  例えば吾平道路から国道四百四十八号に至る区間につきましては、交通量が少なく便益が小さい状況にあるわけですが、それをもって地域活性化への効果や優先度が低いと判断するものではなく、あらゆる整備手法を用いて事業化を検討する必要があると考えております。  このようなことから、先ほどの吾平道路から国道四百四十八号に至る区間については、走行性のよい区間は現道の利用を、また、幅員が狭い区間や走行性が悪い区間については一般道路としての整備を行うこととしており、現在、整備手法の検討を行っているところであります。  大隅縦貫道は、大隅地域の骨格をなし、農業や観光の振興を図る上で重要な道路であることから、大隅縦貫道を含む本県の地域高規格道路の整備に必要な予算確保に努めるとともに、地元市町とも連携を図りながら、引き続き重点的な整備に努めてまいります。 27 ◯前野義春君 自席から再質問させていただきます。  今、部長から、少し気になる答弁がありました。「吾平道路以南については、国道四百四十八号までの区間であらゆる整備手法を検討している」というお話がありました。これは少し前に進んだのかなと思っています、三月よりはですね。言葉のあやかもしれません。  具体的に、この調査に関して、ほかの路線、例えば国道四百四十八号の田代から鹿屋側に、具体的に申し上げますと池田までとか、なぜそういう区間の計画ができないのか。ほかはやっているでしょう、三区間も四区間もやっています。それがなぜ大隅縦貫道についてはできないんですかということをしきりに聞いているんですよ。県はこれまで、吾平道路以南の国道四百四十八号まで、何をどう調査されてきたんですか、答えてください。 28 ◯土木部長(渡邊 茂君)前野議員から、今現在事業中の吾平道路から田代、国道四百四十八号に至る区間までの間について、これまでどのような検討をしてきたのかということであります。  先ほどと重なるところがありますけれども、この区間につきましては、交通量が少なく便益が小さい状況にあるわけですけれども、それをもってすぐに地域活性化への効果や優先度が低いと判断するものではなく、あらゆる整備手法を用いて事業化を検討する必要があると考えているところです。  その内容といたしましては、同区間については、従前より走行性のよい区間は現道利用を、また、幅員が狭い区間や走行性の悪い区間については一般道路として整備を行うという方針にしておりましたので、その中で検討を行っているということであります。 29 ◯前野義春君 同じ答弁ですがね。  次にいきます。  それでは、県政の重要課題と私どもは思いますけれども、重要な社会資本の整備について、私は、県に総合的な調整機能があると考えるものですけれども、そうした場でも、このままでいくと整備格差が生じるという予測は十分可能であったと思うんです。そのことを容認してきたことになるわけです。私は県の政策決定のあり方に重大な疑問があります。  この総合的な調整機能を果たされた責任者は誰かわかりません、誰でもいいです、再度、答えてください。 30 ◯土木部長(渡邊 茂君)ただいま前野議員から、どういう総合調整をしたのかということですので、お答え申し上げたいと思います。  地域高規格道路の調整についてということになろうかと思いますけれども、それぞれ路線ごとの特性であるとか地形・地質、進捗状況等ありますので、そういった中で調整を行ってまいるところであります。ですので、先ほども議員から御指摘のありました区間を含めて、整備手法の検討をそれぞれ行うなど、地域高規格道路の整備進捗をこれまでも図ってまいりましたし、これからも図ってまいります。    [前野義春君登壇] 31 ◯前野義春君 的が外れた答弁ばっかりです。納得できません。このことについてはまた次もやっていきます。次もやります。  錦江湾での養殖業等の課題、先ほど触れました。知事への質問で、なぜこういう質問に至ったのかということについては説明申し上げましたけれども、この錦江湾、非常に環境がいいんです。で、養殖業も盛んに行われています。  この錦江湾で官民問わず、魚礁を入れよう、魚礁を入れて釣果を上げよう、漁の成果を上げようという動きがあります。こうした錦江湾における魚礁の効果の分析と魚礁の整備状況、そして今後の取り組みについてお示しください。  先ほど、錦江湾でのカンパチの養殖の話をさせていただきましたけれども、具体的に漁港と港湾の使用料について、改めて県民の皆さん方に、あるいは同僚議員の皆さん方にお示しいただきたい。港湾使用料及び漁港使用料の算定根拠を具体的にお示しください。  県内で盛んな養殖などのなりわいは、港湾、漁港を問わず行われています。それは、申し上げましたように、そこが養殖する環境に恵まれているからなんです。漁港だから、あるいは港湾だから漁業をしようということではないんです。環境が一番重要なんです。そこでたまたま始めた養殖業が申し上げましたような事態に陥っている。そのことを問題にしているわけです。  県として、養殖業の振興を奨励する観点で、港湾管理者としての立場からどのような認識を持っておられるのか、明らかにしてください。  私は、港湾と漁港の使用料の算定が、それぞれの法律に基づいて県の条例が制定され、その条例・規則に基づいて、県の職員の皆さん方が使用料を徴収されている。そのことについて異論を言っているのではありません。申し上げていますように、港の区分による利用が、しかも、ほぼ類似した使用にもかかわらず、使用料に格差が生じることを問題にしているんです。  このような格差を縮小するために、知事や職員の皆さんが知恵を絞って、港湾使用料を、漁港と同額とは言いません、大体似通った額にするということを私は提案しているんです。  例えば、先日の商工労働水産部長の答弁にもありましたけれども、もうかる漁業創設支援事業をやりました。全て赤字です。全漁協が赤字なんです。これも原因となって、鹿屋の漁協にはその当時、八業者が参画していましたが、残念ながら四社が倒産しました。このように漁協が全て債務をかぶらざるを得なくなっている。そして、鹿屋の漁協は経営改善計画を策定して、今、実行中であります。そういう漁協に対して、改善計画策定・実行中という時間を限ってでも減免あるいは免除ということはできないのか、そういう制度を創設できないのかということを言っているんです。  次の質問に移ります。  交通安全協会のあり方です。  過日、鹿屋市民の中年女性から苦情の電話がありました。免許更新の通知が来て、鹿屋警察署の窓口に手続に行ったところ、昼休み中の手続はできません、一時からですとのこと。憤慨の事情をお聞きしますと、家業の昼休みを利用して手続をという思いで、昼食もとらずに駆けつけたとのことであります。  この時代、市役所も地域振興局も、税務署、法務局のいかんを問わず、昼窓の住民サービスが徹底している。待合室には老若男女が順番を待っている。窓口に詰め寄ると、本部のコンピューターが昼休みはつながらない、本部からの指示ですと取り合ってもらえない。県民へのサービスも最低だと怒りはおさまる気配がありませんでした。  このような対応は、県下全域の所轄警察署で見る光景ではないでしょうか。県警が有償で県交通安全協会に委託した業務と聞きます。  そこで伺いますけれども、交通安全協会が昼間、免許更新業務をしない合理的理由と、今後の対応方針を明らかにしてください。  免許更新手続が終了したときに、交通安全協会費の協力をと要請されます。任意で一年分から三年、五年と金額が説明されます。この協会費の任意納入が減少の一途をたどっているとお聞きします。確かに、高齢者の免許返納、少子化などの理由もありましょうけれども、先ほど指摘した昼休み対応などのサービス供与も県民を微妙な心理にしているのかもしれません。  そこで、交通安全協会・地区協会の収支、決算などの監督権限を持つ県警察として、交通安全協会費の収入の推移と分析、その使い道、収入改善への対策、改善に向けた指導・助言等の取り組みについて明らかにしてください。  平成二十五年四月から、県交通安全協会は財団法人から公益財団法人に移行しました。移行に伴い、平成二十六年四月には、財団法人鹿屋市交通安全協会も、解散と同時に公益財団法人として新たにスタートしました。県内の各地区協会も同様の経過をたどっているものと考えます。  こうした県交通安全協会の各地区支部組織として改編された経緯の中で、鹿屋市の場合は、他の地区と異なり、県支部組織と従来の鹿屋市交通安全協会の二つの組織が共存する変則的な形となっています。県協会の地区支部組織の部外組織となった鹿屋市協会は、貴重な収入源となる受託業務を外され、収入源を絶たれた運営を余儀なくされて五年目に入っています。  協会の主たる業務である交通事故防止、交通道徳高揚・啓発や、春・秋の全国交通安全運動キャンペーンなどの活動は、県協会の統一伝令とは別に、鹿屋市協会独自で、鹿屋署管内の二十支部組織の四百七十人の会員が立哨等の交通指導にいそしんでいます。  鹿屋市協会の運営財源は、主に鹿屋市からの負担金など、補助金のほか、安全運転管理協議会の委託費とあわせて、毎年、所有する財産の取り崩し金でもって運営しています。鹿屋市以外の交通安全協会活動にまさるとも劣らない迅速・闊達な活動を続けております。言うに及びませんけれども、支部協会員の活動のほとんどがボランティアであります。  こうした現状を踏まえて伺います。  県警察として、鹿屋市での変則的な支部運営に対する問題をどう把握・分析しておられるのか。  また、この五年間の、両組織を一本化するなどの調整、仲介などの取り組み、今後の協会組織のあり方をどのように展望されるのか、明らかにしてください。  残る四点目、財産使用のこと、そして収支改善については次回に譲ることにして、以上で終わります。 32 ◯議長(柴立鉄彦君)残り時間が少なくなっておりますので、簡潔な答弁をお願いいたします。 33 ◯商工労働水産部長(田崎寛二君)錦江湾での養殖業等の課題についてのお尋ねのうち、魚礁の効果・分析、魚礁整備の現状と今後の取り組みについてであります。  県では、昭和四十七年度以降、錦江湾内四十三カ所にコンクリート製などの魚礁を計画的に整備しております。設置した魚礁におきましては、水中ビデオによる撮影や漁獲調査により、マダイなど漁獲対象となる魚種のほか、多数の小型魚が確認され、漁獲の向上に寄与しているほか、燃料費の節減など漁業経営の改善に貢献していると考えております。  県としては、二〇二〇年度以降の鹿児島湾・大隅地区の漁場整備に係る基本計画の策定に向け、現在、調査を実施しているところであり、引き続き、地元の要望を踏まえながら、魚礁の整備を推進してまいります。  漁港施設の占用料算定の根拠についてであります。
     漁港施設の占用料につきましては、漁港漁場整備法の規定により、漁港の維持管理に要する費用に充てるため、利用の対価を徴収することができることとされております。漁具倉庫など工作物を設置する場合、漁港ごとに、隣接する宅地の固定資産税評価額をもとに単価を設定しております。 34 ◯土木部長(渡邊 茂君)港湾施設用地使用料の算定根拠についてでございます。  港湾施設用地使用料の単価は、土地造成費や起債金利等をもとに設定しており、舗装地については、工事費等の所要額を加算しているところであります。  続きまして、漁業振興の観点からの港湾管理者の認識及び経営改善計画中の漁協に対する軽減措置についてでございます。  港湾と漁港の施設用地使用料については、近傍の港湾と漁港を比べると、おおむね港湾が漁港より高くなっていると認識しております。  港湾施設用地使用料の減免措置について申し上げますけれども、漁協が設置する荷さばき地や冷凍・冷蔵施設など、公共利用するものについては、これまで減免を行っているところであります。  経営改善計画を策定している漁協に対する計画期間中に限った減免など、さらなる減免措置についてでございますが、港湾使用者間の平等負担の観点や施設の老朽化等に伴う維持管理費の負担増から、慎重な対応が必要であると考えております。  なお、県といたしましては、貸し付けを行うに当たっては、申請者の経営状況は勘案していないところですけれども、申請者から相談があれば、貸し付け期間や貸し付け面積について、実態に即して短期間での貸し付けを行うなど、申請者の実情を考慮した対応を行ってまいりたいと考えております。 35 ◯警察本部長(大塚 尚君)初めに、交通安全協会の昼間における行政サービスについてでございます。  警察署における免許更新手続の受け付け時間は、鹿屋警察署などの比較的規模の大きい警察署は、午前八時半から午前十一時半まで及び午後一時から午後四時半まで、規模の小さな警察署及び幹部派出所については、午前八時半から午後零時三十分までとなっております。  現在の受け付け時間については、警察署ごとの更新者数や警察署の実情等を勘案し、設定しているところでございます。  ただいま御指摘いただきました鹿屋警察署などの大規模警察署の更新手続の受け付け時間につきましては、今後、委託先と協議しつつ、検討してまいりたいと考えております。  次に、協会費収入の推移と使途、収入減対策、改善に向けた取り組みでございます。  公益財団法人に移行した後の鹿児島県交通安全協会の会費収入は、平成二十九年度で約二億四千九百万円、会員加入率は、平成二十九年度で四五・二%、いずれもこの数字は、近年減少傾向で推移しております。  会費収入は、子供や高齢者の交通安全教室、交通安全啓発看板やのぼり旗の設置、夜光反射材等の交通安全用品の配布など、交通安全活動等の公益目的事業等に使われております。  加入率減少の要因としましては、運転者の方々の交通安全活動に対する参加意識の低下や、協会の交通安全活動が県民に十分理解されていないこと等があるのではないかと危惧しております。  県交通安全協会では、会員の加入促進のために、協会の活動や会費が交通安全に貢献していることを広く県民にアピールするとともに、チャイルドシートや交通安全視聴覚教材の無料貸し出しなど、会員特典の拡充と広報に努めているものと承知しております。  県警察としましては、県交通安全協会に関係法令の範囲内で必要に応じて指導・助言を行ってまいります。  最後に、鹿屋市での変則的な支部運営に対する見解についてでございます。  経緯につきましては、御質問にございましたが、当時、移行に際しまして、鹿児島県交通安全協会は、鹿屋交通安全協会に対して、統合に向けた協議を図り、県警察においても所要の助言をいたしたところでありますが、当時の鹿屋交通安全協会におかれましては、理事会による決議を経て、独立の公益財団法人への移行を選択なされたものと承知しております。  移行後、両法人は、それぞれが公益目的事業の充実を図り、連携して地域の交通安全の向上に努めておられるものと承知しております。  公益法人の統合は、法人の定款に基づき、理事会及び評議員会の決議を必要とするなど、それぞれの法人の意向によるものでございまして、県警察が公益法人の統合について調整や仲介を行う立場にはないのでございますが、いずれにしましても、県警察としては、関係法令の範囲内で適切に対応してまいります。 36 ◯前野義春君 最後に、自席からですけれども、県港湾管理条例の第八条、そして同施行規則第十六条に、知事が特に認める場合というのがあります。この知事が特に認める場合という条項をつくった経緯、なぜこういうものをつくらなきゃならなかったのかという経緯についてお答えください。 37 ◯土木部長(渡邊 茂君)ただいま、県港湾管理条例第八条に対するお尋ねがありました。  港湾の場合、公共事業の用に供する場合や港湾関係行事に使用する場合、漁協の船揚げ場等、公共利用するものを減免措置の対象としてきたところであります。この根拠となっているものと考えております。 38 ◯議長(柴立鉄彦君)前野義春君。  発言時間を超過いたしております。    [前野義春君登壇] 39 ◯前野義春君 さまざまな問題について質問してまいりましたけれども、声が大きくなったり、大変失礼いたしました。  今後も、地域課題について、きょうやり残した分がありますから、機会がありましたらぜひ、残る地域課題を掘り下げて質問してまいりたいと思っているところです。  本日は、鹿屋からわざわざおいでいただきました。見苦しい点をお見せしましたことをおわび申し上げ、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 40 ◯議長(柴立鉄彦君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十九分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 41 ◯副議長(大園清信君)再開いたします。  向井俊夫君に発言を許可いたします。    [向井俊夫君登壇](拍手) 42 ◯向井俊夫君 奄美市・龍郷町選出の自民党県議団の向井俊夫でございます。  議場の皆様、県民の皆様、きゅうや うがみしょうらん。  この夏は、NHK大河ドラマ「西郷どん」のテレビ放映で、江戸末期の奄美の人々の生活や農作業、とりわけサトウキビ生産や黒糖製造の様子をおわかりいただけたと存じます。  ドラマのオープニングのメーンテーマの歌は、奄美出身の歌手で、奄美では唄者と言いますが、里アンナさんであります。また、西郷どんの奄美での妻、愛加那は沖縄出身の二階堂ふみさんが演じ、厳しい生活環境の中でも夫婦愛、家族愛を、そして奄美の女性の芯の強さと優しさを、笑いの中、涙の中で存分に表現していただいたと思います。そして、ドラマの中での方言での会話、恐らくテロップが出なければ意味不明の外国語だったのではないかと思います。  ドラマの中でも出てきましたが、薩摩藩の厳しい黒糖の取り立て、通称黒糖地獄と表現する方もいらっしゃいますが、奄美の先人たちのその苦労があったからこそ、薩摩藩と西郷隆盛、大久保利通らの明治維新ができたのだと誇りに思う私であります。  それでは、通告に従い、順次質問させていただきます。  まず、奄美群島振興開発特別措置法についてであります。  奄美群島は、北のほうから、喜界島、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島、沖永良部島、与論島の八島から成る外海有人離島であります。  夏季は豪雨や台風の常襲地帯で、また、晩秋から冬季、初春にかけての東シナ海からの北西の強風は、ほとんど毎日と言ってもよいくらい波浪注意報と波浪警報をもたらし、奄美の島々の農林水産業、公共事業、地元企業や商店街の経済活動、子供たちの学校生活に大きな支障を来しているわけでございます。  しかし、先日の代表質問でも述べられたように、奄美群島は、国境離島として、我が国の領海等の保全に関する活動拠点としての役割を果たし、古くは薩摩藩財政を黒糖で潤し、また、琉球王朝を通しての貿易、海上の道の島でもあったわけでございます。  戦後二十万人とも言われた人口も、今日では奄美八島で十一万人を下回るまで減少し、過疎と高齢化社会に直面いたしております。しかし、その厳しい現状を支え、本土との格差是正とインフラ整備、自立的発展、自立自興を促し、群島民の心の支え、経済的支えとなっているのが奄振法であります。  そこでお伺いいたします。  一点目、二〇一九年度奄振法の延長を見据えての概算要求が示されましたが、公共事業の中で特筆すべき事業は何か、お伺いいたします。  二点目、非公共事業の奄美群島振興交付金の事業の中で、群島民から一番満足度の高い事業は何か、お伺いいたします。  三点目、今後の奄振法の方向性と、奄美十二市町村自治体と連携した今後の取り組みについて、お伺いいたします。  次に、国道五十八号おがみ山バイパスについてお伺いいたします。  この事業が都市計画決定されたのが平成十年九月、事業着手が平成十四年度、平成十五年度から用地取得が始まり、市道の取りつけ道路の事業が着手されております。そして、平成十九年七月十日から平成二十年一月十五日までの奄美のまちづくりのあり方検討委員会において、奄美の世界自然遺産登録に向けた動きなどに配慮し、おがみ山から真名津まで全線トンネル一千二百六十メートル、全体延長一千八百四十メートルの案が示されたわけでございます。  その後、この都市計画変更に伴う説明会が平成二十一年二月二十七日、二十八日、三月一日となされ、その後、その都市計画案に係る意見書が、平成二十一年六月十九日から七月三日の間、八件提出されましたが、平成二十一年十一月十七日のおがみ山バイパスルート変更の、都市計画変更の告示がなされたわけでございます。  しかし、その後、おがみ山バイパス事業については、地元の合意形成がなされていないということで凍結され、網野子バイパスにおがみ山バイパス事業予算が流用されたわけでございます。  その後、網野子バイパスが平成二十七年三月二十二日に開通しましたが、奄美大島では、平成二十二年から二十四年にかけ、集中豪雨等により多数の交通途絶箇所が発生したことから、現在、災害に強い道づくりとして、宮古崎トンネルなどの整備が進められているところでございます。  このような中、平成二十六年三月に奄美市議会から県知事へ、おがみ山バイパスの事業促進に関する意見書、一、関係権利者や地域住民との対話を重んじ、十分な説明を行いながら移転交渉を進めること、二、早急の事業推進を図ることとの内容の意見書が出されました。  また、平成二十九年三月に再度、奄美市議会から県知事に、国道五十八号おがみ山バイパスの早期再開に関する意見書、一、国道五十八号おがみ山バイパス事業の早期完成に向けて早急に予算の確保を図ること、二、関係権利者や地域住民との対話を重んじ、十分な説明を行いながら移転交渉を進めることとの内容の意見書が出されました。  そして、平成三十年二月に奄美市長からも県知事に、一刻も早い事業推進を求める旨の要望の申し入れがなされるとともに、五月から六月にかけて、奄美市が独自で未買収地権者を戸別訪問し、意向確認を行ったとお聞きいたしております。  そこでお伺いいたします。  ことしの第一回定例会での私の質問に対し、知事は、「地元の理解が得られれば前向きに事業を進めたい」と答弁なさいました。知事答弁は地元紙にも大きく取り上げられ、その後、奄美市議会でも質疑がなされているが、地元からの異論等は聞こえておりません。また、奄美市が独自に地権者を訪問し、意向調査を実施した結果、反対者もごく少数であったと聞いております。事業再開に向け、機は十分に熟したのではないかと考えられます。奄美市名瀬においては、名瀬港マリンタウン事業や末広・港土地区画整理事業も進捗しており、これらの事業と一体となったおがみ山バイパス事業再開を一日も早く決断すべきと考えております。知事のお考えをお伺いいたします。  次に、名瀬港ターミナルビルについてお伺いいたします。  名瀬港旅客用ターミナルビルは、築四十年以上が経過、老朽化が進み、南の島の船旅に夢を抱いて来島していただいた観光客や、船を利用して鹿児島や沖縄、そして奄美の各島々へ渡航するお客様に御不便と、大変寂しい思いをさせているのが現状でございます。  鹿児島への定期船は夜の九時過ぎに出港、鹿児島から奄美・沖縄への定期船は朝五時ごろ入港し、六時に出港です。また、天候次第ではおくれが出て、この待合所で長時間過ごすことがたびたびございます。特に、朝の鹿児島からの入港が五時の場合、奄美が地元の利用者はすぐに自宅に帰れますが、ホテルのチェックイン時間やレンタカーの営業開始時間にはほど遠く、観光客やビジネス客は、殺風景なひんやりした待合所で時間を過ごさねばなりません。運のよい人は、当日宿泊予定のホテルに相談し、早朝チェックイン、朝食をとることもできますが、空路奄美入りのお客様の多い昨今は、宿泊客がチェックアウトするまでロビーで待機することも多々ございます。  大型クルーズ船での船旅が注目を浴びている今日、今後は、島の人々の足であり、また生活物資の輸送に大活躍の定期船もますます大型化され、旅客対応設備も高度化され、お客様の増員も考えられます。  そこで、旅客用ターミナルビルを利用する立場でお伺いいたします。  一点目、ターミナルビルの建設計画とその進捗状況はどのようになっているか、お伺いいたします。  二点目、建設計画の素案づくりの段階で、一般民間の方々や港湾事業者、観光関係事業者の意見も聴取するのか、お伺いいたします。  これで、一回目の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 43 ◯知事(三反園 訓君)おがみ山バイパスの事業再開についてであります。  ことし二月、奄美市長から、おがみ山バイパスにつきまして、事業推進を求める旨の要望書が提出されております。また、七月には、奄美市が独自で未買収地権者を戸別訪問し、意向確認を行った結果、地権者や関係者のほぼ九割以上の皆様方が理解していただいている旨の報告を受けたところであります。  県といたしましては、交通混雑の緩和などのため、おがみ山バイパスの整備は必要であると認識しておりまして、このような状況を踏まえ、地元奄美市や市議会、地権者の意向及び、災害に強い道づくりの進捗状況等を総合的に判断いたしまして、おがみ山バイパスにつきましては来年度から事業を再開したいと思います。今後、このために必要な手続を進めてまいります。 44 ◯企画部長(古薗宏明君)奄美群島振興開発関係の公共事業についてであります。  平成三十一年度の奄振関係の国土交通省概算要求におきましては、公共事業について、国費ベースで本年度予算額よりも十四億三千八百万円多い二百二億五千七百万円が計上されました。このうち道路関係では、近年、集中豪雨等により多数の交通途絶箇所が発生いたしましたことから、災害に強い道づくりを推進しているところでありまして、来年度も、県道名瀬瀬戸内線の宮古崎トンネル工事等に必要な経費が盛り込まれております。また、農業農村整備関係では、喜界島におきまして、これまで、農林水産省が畑地かんがい用の新規水源開発等のための調査を進めてまいりましたが、来年度は、国営事業着工に向けた計画の策定等を行う全体実施設計に必要な経費が盛り込まれたところであります。  県といたしましては、これらの公共事業を含む奄美群島振興開発事業を積極的に推進し、奄美群島の基礎条件の改善や、地理的及び自然的特性に応じた同群島の振興開発を図ることとしておりまして、概算要求額の満額確保が図られるよう国に要望してまいりたいと考えております。  奄美群島振興交付金事業の住民満足度についてであります。  県が昨年度の奄美群島振興開発総合調査の中で実施いたしました、奄美群島在住者を対象としたアンケートでは、約一千六百名から回答があり、奄美群島振興交付金を活用した事業の中で、群島住民が利用する航路・航空路の運賃を軽減する事業が最も満足度が高かったところであります。  このほか、交流人口を拡大するために実施いたしました、東京や沖縄からの観光客などの運賃を軽減する事業、農林水産物の輸送コストを支援する事業などの満足度が高くなっておりまして、全ての奄振交付金事業で、「満足」のほうが「不満足」より多い結果となりました。  今後の奄美群島振興開発特別措置法の方向性と、地元市町村と連携した取り組みについてであります。  奄振法につきましては、奄美群島振興開発審議会が八月に国に提出した意見具申の中で、平成三十一年度以降も法的枠組みにより特別措置を講じる必要があるとされるとともに、今後の成長が期待される農業、観光及び情報通信など奄美群島の強みや地域資源を生かした産業振興を図るべきであること、UIターンの活性化など定住の促進に向けた取り組みを充実すべきであることなどが提言されておりまして、国におきましては現在、この意見具申の内容を踏まえ、法改正等の準備が進められていると聞いております。  また、国の平成三十一年度予算に係る概算要求では、奄美群島の自立的発展に向けまして、奄美群島振興交付金の内容の充実・強化が必要であるとして、加工品の移出や原材料等の移入に係る輸送費支援、住民に準ずる者に対しても住民並みの航路・航空運賃割引を適用することなどが盛り込まれたところであります。  県といたしましては、引き続き、県議会や県選出の国会議員、地元市町村の方々と一体となって、法延長の実現と支援措置の充実に向け、国に働きかけるとともに、次期奄美群島振興開発計画の策定に向けた地元市町村との協議を行っていくこととしておりまして、法延長後には、新たな施策を含む奄振事業を展開し、交流人口の拡大、産業振興、定住促進に向けた好循環の形成により、奄美群島の自立的発展を積極的に図ってまいりたいと考えております。 45 ◯土木部長(渡邊 茂君)名瀬港旅客ターミナルビルの計画についてでございます。  名瀬港本港地区においては、施設の老朽化や荷さばき用地不足などに対応するため、既設岸壁の沖出し及び旅客ターミナルビルの建てかえ等によるフェリー埠頭再編に着手しているところであります。  旅客ターミナルビルについては、埠頭利用者などと協議を重ねた結果、現在地よりも市街地側への移転新築を決定したところであります。また、同ビルの設計については、今月上旬に設計業務を発注したところであり、年度内にその設計を終える見込みであります。  旅客ターミナルビルの設計については、今後、航路関係者や荷役関係者、観光関係者などで構成される連絡会において、ターミナルビルに求められる施設配置や機能などさまざまな御意見を伺うこととしており、連絡会で出された意見を踏まえ、利用者にとって快適で利便性の高いターミナルビルとなるよう設計を進めてまいります。 46 ◯向井俊夫君 ただいま大変うれしい答弁もいただきました。  名瀬港のターミナルビルに関して、一つだけお伺いいたします。  その意見を聴取する形ですね、それは個々にするんですか、それとも会合を持って、各業界とかそういう方々の代表者をお招きして意見交換するということになるんでしょうか。それを一点だけお伺いいたします。 47 ◯土木部長(渡邊 茂君)ただいま、どういう形で意見を集めるのかというお尋ねであったかと思います。  先ほど申し上げましたが、連絡会を航路関係者や荷役の関係者、観光関係者などで構成しておりまして、その場でするのが基本かと考えております。    [向井俊夫君登壇] 48 ◯向井俊夫君 答弁いただきました。  答弁に対しての総括は最後にさせていただきますので、次の質問に入りたいと思います。  まず、奄美パークについてお伺いいたします。
     この奄美パークは、奄美の郷、田中一村記念美術館、遊歩道の一村の杜、そして多目的広場、野外ステージ、展望台、駐車場から成り、旧奄美空港跡地に平成十三年九月三十日開園、園地面積七万七千平米、総事業費七十八億円で整備され、指定管理者は奄美群島広域事務組合、奄美群島の情報発信の拠点施設として、この夏、奄美の郷をリニューアルオープンしたところでございます。  園長は、千葉商科大学国際教養学部長の宮崎緑さんで、毎月、そして自主事業やイベント行事があるときは、多いときには月に二回から三回は訪れ、また毎年、千葉商科大の学生を四十名から五十名近く、授業の一環として引率して来島されます。  この奄美パークは、奄美空港から約五分ぐらいの距離であり、奄美に来島して即見学、また帰りの飛行機の時間調整にも大変便利で、時間を有効に使える施設だと考えております。県議会の奄美行政視察の折には、所管外の委員会視察であっても、帰りに三十分から六十分の時間をつくり、県の施設として視察していただければ幸甚に存じます。  さて、この奄美パークも、開園以来この九月三十日で十七年経過いたします。  そこでお伺いいたします。  一点目、奄美パークの奄美の郷、田中一村記念美術館の開館以来の来館者数とその役割をお伺いいたします。  二点目、建築物の中で、奄美の郷の外観、特に屋根の老朽化が激しいが、改修・補修の考えはないのか、お伺いいたします。  次に、学校の施設整備についてお伺いいたします。  この問題は、多くの同僚議員が一般質問でも取り上げております。  ことしの夏の異常気象は、例年にない暑さと台風襲来。私は奄美大島ですから、暑さと台風にはなれているつもりでしたが、ことしみたいに小まめに数多く台風が来ると、釣りのお客様や観光客のキャンセル、ホテルのビアガーデンの営業休止、そして、定期船・貨物船の欠航による生鮮食材の欠品等、大変な営業状態でございました。  国内全域にわたる熱中症騒動には大変考えさせられました。北の寒冷地においては、学校施設には国や県から暖房設備に対しての補助があったのではと、なぜ、鹿児島県や南国の奄美等は夏の冷房に対しての設備整備がないのかと。  私ども大人の屋内の職場は、官公庁、民間事業所はほぼ一〇〇%、冷暖房完備でございます。ところが、どうでありましょう。少子化傾向の中、大事に育てなければならない子供たちの教育現場はどうでしょうか。特別教室や図書室、保健室、校長室などは別として、県内一部を除いて、子供たちが一番勉強で使う普通教室はほとんど、天井の扇風機がゆっくり回っているのみであります。子供たちは、家に帰ればエアコンはあるし、図書室やお店、車の中でもエアコンのおかげで快適に過ごせます。しかし、一番大事な勉強をする教室が最悪のコンディションであることは皆様もおわかりかと思います。  そんな中で、小・中学生の学力が全国平均以下だから、どうしよう、こうしようと考えるより、まずしっかり先生方が快適に勉強を教え、子供が学べる環境整備も必要ではないのかという質問でございます。  文科省も、来年度の概算要求で、公立学校のエアコン導入や危険なブロック塀の撤去・改修を促すために、約二千四百億円を盛り込む方針を固めたそうでございます。  そこでお伺いいたします。  一点目、県内公立小学校・中学校・高校における普通教室のエアコン設置率はどうなっているか、お伺いします。  二点目、県内私立小学校・中学校・高校の普通教室のエアコン設置率をお伺いいたします。  三点目、文科省において、学校における安心・安全の観点から、空調設備や耐震性のない危険ブロック塀等の対策で大幅な予算の概算要求をしているが、本県はどのような対策をとるのか、お伺いいたします。  四点目、当初予算で、県立高校空調設備整備事業二億八千八百五十万五千円とございますが、普通教室は考えていなかったのか、お伺いいたします。  これで、二回目の質問といたします。 49 ◯PR・観光戦略部長(川野敏彦君)奄美パークについてのお尋ねのうち、まず、その役割と入館者数についてでございます。  奄美パークは、奄美の郷と田中一村記念美術館を中核施設としており、世界的にもすぐれた奄美の自然や、島唄・民俗芸能等の伝統文化、大島紬等の伝統産業、鶏飯や黒糖等の食の魅力などを、映像や展示物、田中一村の作品等を通じて情報発信する奄美群島全体の観光拠点として大きな役割を果たしております。  平成十三年の開館以降の入館者数は、平成二十九年度末までで、奄美の郷が約百四十万人、田中一村記念美術館が約八十四万人、全体で約二百二十四万人となっております。  なお、近年の入館者数は、LCCの就航や平成二十九年の奄美群島の国立公園指定、奄美の世界自然遺産登録への期待などから、平成二十五年度以降、毎年度増加してきております。  次に、奄美の郷の改修等についてでございます。  奄美パークは、開園後十七年が経過し、経年による劣化が見られ、雨漏りが発生するなど、施設や設備等の老朽化が進んできております。これまで、国の奄美群島振興交付金も活用しながら、奄美の世界自然遺産登録を見据えた展示のリニューアルなど、機能の充実を図ってきているところでございます。今年度は、御指摘のありました、奄美の郷の屋根を含みます外装工事の実施設計を行うほか、園内の歩道改修や案内板の設置などを行うこととしております。  今後とも、奄美群島を訪問される観光客の方々に快適に利用していただけるよう、施設機能の維持・充実を図り、奄美パークを拠点とした群島全体の観光振興が図られるよう努めてまいります。 50 ◯教育長(東條広光君)初めに、学校における空調設備の整備についてであります。  県内の公立学校における普通教室の空調設備の設置率は、昨年四月一日現在で、小学校は三五・六%、中学校は三六・一%、高校は七一・四%となっております。  また、私立学校におきましては、小学校及び中学校は一〇〇%、高校は九九・六%となっております。  次に、公立小・中学校の国の概算要求に係る県の対応についてであります。  文部科学省の来年度の概算要求は、小・中学校等を対象として、近年の厳しい気象条件に対応した教育環境を確保するための空調設置や、ブロック塀の倒壊防止等の安全対策を支援するため、今年度を大幅に上回る要求額となっております。  今回の要求に当たっては、先般国から、空調設備の整備とブロック塀の安全対策に係る市町村の事業計画について調査依頼があり、県教委において取りまとめて提出したところであります。  今後、国において、事業計画の内容を精査の上、採択に向けた手続がなされるものと考えておりまして、事業が円滑に進められるよう、市町村に対し、必要な指導・助言を行ってまいりたいと考えております。  次に、県立高校空調設備整備事業についてであります。  県立高校空調設備整備事業におきましては、これまで、図書室や保健室、パソコン室等の空調設備の整備を年次的・計画的に行ってきたところでありまして、今年度は、五校において、保健室等の空調設備の更新や職員室等への整備を行うほか、三校におきまして、寄宿舎の舎室等、舎室は生徒が生活する部屋のことでありますが、この舎室等への整備等を行うこととしております。  なお、限られた予算の中、多くの学校で校舎が老朽化し、改築が必要となっていること、厳しい財政状況の中で国からの支援も限定的でありますことなどから、普通教室の空調設備については従来どおりの取り扱いとしているところであります。 51 ◯向井俊夫君 答弁ありがとうございます。  ただいま奄美パークに関しまして、屋根の改修等を予定しているというお答えをいただきました。確かに、十七年たちますと、ごらんになった方は、外から見たらすぐわかるかと思います。そういう中で、私が心配しているのは、雨漏り等により、中の展示物が破損したりとか傷んだりとかそういうこと、それと、せっかくのあれだけの設備・施設、その見た目も大変気になるところでございます。  そういう中で、平成三十年四月から八月、来館者の方からいただいた、九十二件ほどのアンケートが手元にあります。その中の自由意見を二、三取り上げてみたいと思います。  男性の六十歳以上の方、美術館の建物・規模に驚いた。他に比類なき独創的な建物です。作品とマッチしてすばらしいと思いました。五十代の女性、絵もすばらしかったのですが、建物が落ちつきがあり、また訪れたいと思いました。北海道から見えた四十代の女性の方、建物がすばらしい。展示室の間のレストスペースがよい。外の奄美の植物も見られるし、落ちつきます。絵はもちろんすばらしいです。東京の六十代以上の女性の方、七十歳以上はほかの県の人も無料にしてほしい。それと、洋式トイレにしてほしいという要望です。そして大阪からの四十代の女性の方、建築、椅子、すだれ、今まで行った美術館で一番落ちつくし、私の好み。田中一村の絵を見に来ましたが、空間、美術館がとても好き。それから大阪の五十代の男性の方、建築がすばらしいので驚きました。奄美の青い空と建物が一体となって、あと云々。それから県外男性、六十代以上の方、初めて来園してから今日まで、ちょうどきょうで二十回目の入場となります。多い年は年三回、少ない年は二年に一回、来るたびに感動しております。それから女性の五十代の方、都会にない美術館です。温度調整が大変と思います。ありがとうございます。愛知県男性、六十代以上、建物もすばらしい。そして若い方では、東京の三十代の女性の方、初めて奄美パークを観光しました。歩いてくる途中、美しい建築に魅了されました。建物がすごく気に入りました。同じく大分の十代の女性の方、建物のデザインがとてもよかった。  皆さん、もちろんこの中で田中一村の絵を大変高く評価して褒めております。それに附随して奄美パーク全体の建物ですね、これがすばらしいと大変褒めていただいております。そういう意味では、これからもそういう施設整備、そこら辺、しっかりやっていただくということが大事なのかなという思いがあります。  私が思うに、地元の団体の方とかそれから議会の方と、奄美パークが意見交換する機会というのがなかったんじゃないのかと。そういう意味において、これからそういうことも考えられないのかどうか、お伺いいたします。 52 ◯PR・観光戦略部長(川野敏彦君)奄美パークにつきましては、今、議員からございましたように、奄美のすばらしい自然でございますとか、伝統文化・伝統産業につきまして展示等いたしておりまして、高い評価をいただいているということは、るる御紹介いただきましたし、私どもにもそのような声が届いているところでございます。  入館者の方につきましては、県外の方々に対しまして、奄美の観光拠点としての役割をPRすることはもちろんでございますけれども、御指摘ございましたように、まず、地元の方々に奄美パークのすばらしさについて触れていただいて、改めて自分たちの地域のことについて自信を持っていただくということは非常に貴重なことだと思っておりますので、指定管理をお願いしております奄美群島の広域事務組合とも相談いたしまして、御指摘のような点についてまた検討してまいりたいと考えております。    [向井俊夫君登壇] 53 ◯向井俊夫君 御答弁に対しての私の考えは後ほどまた述べさせていただきます。  次に、奄美世界自然遺産登録についてお伺いいたします。  この奄美世界自然遺産登録については、自民党、県民連合の代表質問、そして同僚議員の一般質問に対しまして御答弁いただきましたが、私は私なりの立場で質問させていただきます。  一点目、登録延期となった最大の理由、これが六項目ほどございました。簡潔に述べていただければ結構でございます。  二点目、来年二月の推薦書再提出へ向けてのスケジュール調整はできているのか、お伺いいたします。  三点目、来年からの世界遺産推薦は、一国で文化遺産か自然遺産かどちらかになるとのことでございますが、その対策をお伺いいたします。  次に、県立自然公園についてお伺いいたします。  私は奄美に帰郷し、早くも四十年の歳月が経過しようといたしております。その間、私のテーマは一貫して、観光業を通しての島おこしでございました。  観光はトータル産業という言葉がございますが、人的交流、すなわち人の交流が拡大し、観光客や来島客がふえることにより、公共事業等のインフラ整備、民間の設備投資、農林水産業の生産拡大と雇用の創出、人的交流が物的交流を生み、大きな経済効果をもたらす。それが私の経済活動の基本になっております。  観光客や県外からの来訪者が興味を示し、来訪者が多いのは、やはり国立公園、国定公園であると考えられます。  そこで、見逃してならないのが県立自然公園であります。  観光客を送客してくださる旅行社にとって、国や県の指定の冠があるということは大きなセールスポイントでもございます。  そこでお伺いいたします。  一点目、県内で何カ所、県立自然公園に指定されているか。また、指定の要件は。  二点目、種子島や三島村は要件を満たされていないのか、お伺いいたします。 54 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)奄美世界自然遺産登録についてお尋ねがありました。  まず、登録延期の理由についてであります。  国際自然保護連合─IUCN─の勧告においては、登録延期の主な要因として、沖縄の北部訓練場返還地が推薦地に含まれていないこと、分断された小規模な区域が複数含まれていることが指摘されております。  沖縄の北部訓練場返還地について、国は、六月二十九日にやんばる国立公園に編入したところであり、このうち約三千ヘクタールを世界自然遺産の推薦地及び緩衝地帯へ追加する方針を示したところであります。  また、推薦地のうち、分断された小規模な区域については、他の区域への連結の可能性を検討し、連結が困難な場合は推薦地から除外する方針であり、現在、個別の区域の取り扱いについて、専門家の意見等も聞きながら精査しているところであります。  このほか、国、県、市町村等が連携を図りながら、適切な役割分担のもと、奄美大島における推薦地内の私有地の取得、外来種対策の強化、利用のルールづくりやモニタリング計画の策定等の取り組みを進めております。  推薦書再提出のスケジュールについてであります。  登録に向けたスケジュールについて、環境省は、二〇二〇年の世界自然遺産登録に向け、来年二月一日までの推薦書の再提出を目指したいとの意向を示しております。今月十二日には、有識者で構成される科学委員会を開催し、IUCNの勧告を踏まえ、遺産としての価値を生物多様性に絞るとともに、推薦地の境界線修正方針、具体的には、沖縄の北部訓練場返還地の一部編入、小規模な分断地の連結や除外を行うとの考え方を示し、委員の理解を得たところであります。  年内には改めて科学委員会を開催し、推薦書の修正版の検討を行い、来年二月までの推薦書の再提出に向け、計画的に作業を進めるとしております。  世界遺産の推薦枠についてであります。  世界遺産の推薦について、世界遺産委員会が、年間の審査件数の上限を引き下げるとともに、各国ごとの審査件数を従来の二件から一件とする方針を示したことを受けて、国においては、来年の推薦を自然遺産または文化遺産のいずれかに決める必要があります。このため七月三日に、来年二月一日までの推薦書の再提出について、知事が県議会議長とともに、中川環境大臣に改めてお願いするとともに、菅官房長官にも直接要望したところであります。  県といたしましては、来年の推薦書再提出に向け、引き続き国に対して要望するとともに、関係機関と連携を図りながら、世界自然遺産としての価値を維持していくための取り組みをより一層推進してまいります。  続きまして、県立自然公園の指定についてであります。  県立自然公園は、すぐれた自然の風景地を保護するため、知事が県立自然公園条例に基づき指定するものであり、現在、阿久根、藺牟田池、吹上浜、坊野間、川内川流域、大隅南部、高隈山、トカラ列島の八カ所を指定しております。その選定に当たっては、本県を代表する傑出した自然の風景であり、生態系が良好な状態を保持していること、さらには、交通の利便性が高く、多人数の利用に適していることなどを要件としております。  県におきましては、生物多様性鹿児島県戦略に基づき、平成二十八年度から二十九年度にかけて、地形、地質、植生などの観点から、県立自然公園に関する総点検事業を行っており、種子島や三島等は、自然の風景の傑出性が高い地域と評価されたところであります。  県といたしましては、この総点検結果をもとに、地元の意向等も十分踏まえながら、県立自然公園の指定や見直しについて検討してまいります。 55 ◯向井俊夫君 ありがとうございます。  文化遺産、自然遺産のどちらか推薦と、それも閣議決定ということでございます。  知事と議長が菅官房長官、そして中川環境大臣にお願いしてきたということでございますが、十月一日に内閣改造があるかもしれません。新しい大臣や官房長官が決まった場合、どのように対応するのか、お伺いします。それが一点。  それと二点目、環境省の担当課や事務方への対応、対策について、これも毎年、職場がかわっていくということで、対応がしっかりなされているのかどうか、それをお伺いします。  それと、沖縄県の熱意がちょっと低かったんじゃないかと。これは私、市議会議員時代から北部の北谷との交流がありましたが、行っても、世界自然遺産の「せ」の字も出なかったということが何回もありました。地元選出の国会議員も、沖縄の国会議員も熱意が薄いという話もしていました。そういう意味では沖縄県との連携、それは大丈夫かどうか、お伺いします。  それと最後に、県立自然公園について、種子島とか三島も、県立自然公園の要件を満たしているのではないかと思いますが、これは、松里議員や日高議員にバトンタッチするとして、何とか県立自然公園に編入させていただけたらと思います。 56 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)四点ほど御質問だったかと思います。  内閣改造の影響でございますが、これまでも答弁いたしておりますとおり、中川環境大臣は、奄美・沖縄の自然遺産登録について、来年二月一日までの推薦書の再提出を目指すということを明言しておられます。また、知事と県議会議長による要望の際にも、その旨を改めて表明されました。これは環境省としての方針であり、環境省は引き続き、この方針を踏まえた対応をされるものと私どもは理解しているところであります。  県といたしましては、今後ともあらゆる機会を捉えて、地元の考え方を国に伝えてまいりたいと考えております。  それと、環境省との事務方の連携でございますけれども、これまでも環境省、本省はもちろんでございますが、那覇自然環境事務所、現地自然保護官事務所とも日常的に意見交換や調整を行いながら、取り組みを進めております。  私もこれまで、環境省、本省において中心的な役割を果たしておられる自然環境計画課長と、直接意見交換を行っております。先週、たしか九月十二日にも、今後の取り組み等について意見交換を行ったところであります。引き続き、環境省と緊密な連携をとってまいりたいと思っております。  それと、沖縄との連携でございます。  まず、世界自然遺産登録については、沖縄との連携が不可欠であろうと思っております。ただ、世界自然遺産登録に向けた課題については、地域の置かれた状況等により異なる部分もあるかと思っておりますが、それぞれの取り組みについては情報を共有しながら、課題への対応を進めているところであります。  本県は、知事、県議会議長が、環境大臣あるいは菅官房長官に要望を行いましたけれども、そうした情報は全部沖縄に伝えておりまして、沖縄県も、八月三十日だったかと思いますが、副知事が、官房長官を訪問されて同様の要望を行われたということでございますので、今後とも、沖縄県との連携を密にしながら、連携を図ってまいりたいと思っております。  それと、種子島が県立自然公園になれないのかというお話だったかと思います。  先ほど答弁いたしましたように、平成二十八年度から二十九年度にかけまして、県立自然公園の総点検事業を行ったところであります。その中で種子島は、三島などと並びまして、県立自然公園選定の第一の要件であります、自然の風景の傑出が高い地域だという評価をいただいております。ですから、この評価を踏まえて、私どもは地元の意見も十分尊重しながら、県立自然公園の指定等について検討してまいりたいと思っております。    [向井俊夫君登壇] 57 ◯向井俊夫君 御答弁ありがとうございました。  奄振は、これからの奄美をしっかり支えていくと思います。  それと、おがみ山バイパス事業、これも本当に長年の懸案事項でございまして、地元のほうとしても大変喜ばれることと存じます。  県立自然公園ですが、これは先ほども申し上げましたように、地元の松里議員や日高議員にしっかりバトンタッチして、自然公園の指定を受けるよう頑張っていただけたらと存じます。  以上で、私の質問を終わりますが、生まれてよかった、住んでよかった鹿児島県と言えるように、三反園知事を初め執行部の皆さん、そして県議会の皆さん、力を合わせて頑張っていけたらと存じます。  ありがとうございます。(拍手)
    58 ◯副議長(大園清信君)次は、桑鶴勉君に発言を許可いたします。    [桑鶴 勉君登壇](拍手) 59 ◯桑鶴 勉君 昨日は自民党総裁選が行われ、安倍総理が三選されました。これからの日本の進むべき道筋をしっかりと示し、国民生活の安定と日本国の一層の繁栄を図ってほしいと願うものであります。  さて、私ども海外経済交流促進等特別委員会は、去る八月七日から十一日までの日程で、アジア諸国との人やモノの交流促進に関する調査をテーマに、ベトナムのハノイ、ハイフォン、ハロンの三都市を訪問してまいりました。  八月七日、ハノイ国際空港におり立ち、ハノイの中心地へ向かう車中でのガイドの説明では、国際空港ターミナルもハノイへの高速道路も日本のODAでつくられたものであり、日本の経済援助を望んでいるベトナム国民の期待の大きさを感じるものでした。  ハノイ市内に入り、まずイオンモールを視察いたしました。イオンモール内の日系スーパーでは、日本国内の大手スーパーと変わらないような品ぞろえでありました。生鮮野菜は日本産のものはほんの少し、加工食品は結構たくさん並んでいましたが、日本酒は一本だけ、ウォッカとワインは大量に、焼酎は一本もありませんでした。  夜は、ハノイ鹿児島県人会との交流会でした。ジェトロを初め、京セラなどのメーカーや商社の社員の方々から、元気に働いている様子や苦労話などを聞くことができました。これらの方々が、今後の鹿児島県とベトナムの経済・文化の交流に大いに寄与してくれるものと思います。  八月八日は、まず、国際交流基金ベトナム日本文化交流センターを訪問し、安藤所長から話をお伺いしました。  活動の大きな柱は、日本語教育、文化芸術交流、日本研究と知的交流、図書室運営であり、日本語教育については、日本語学習者支援や教材の開発セミナー、日本語フェスティバルの開催、教師の研修や日本語能力試験などを行っていること、しかし、日本語を習得して公務員になっても給与が低いことなどや、先生の人材不足などの課題があることなどを話されました。  文化芸術交流については、映画祭や音楽コンサート、舞台公演、日本文学のベトナム語への翻訳出版などの活動を紹介していただきました。日本研究の中心的な役割を担う研究機関への助成などを行っているとの報告を受けました。  続いて、ジェトロ・ハノイ事務所を訪問し、北川所長から、ベトナム最新経済情報と題して、一、好調なベトナム経済状況、二、貿易、三、ベトナムへの投資、四、人件費、五、製造業の方のために、六、ベトナム市場を目指す方のために、七、ジェトロの活動について、それぞれの項目について、日本への技能実習生の現状と課題など詳しい話を聞くことができました。ベトナム経済のリード役は、今や韓国サムスンであること、ユニクロなど縫製分野については日本に強みがあることなどを興味深く聞かせていただきました。  次に、JICAベトナム事務所を訪問し、小中所長の話を伺いました。  日本の対ベトナムODAについては、援助の約三割を供与する最大の援助国であること、その実績については、空港、ハイウエー、国道や工事中の地下鉄、発電所、学校建設や人材育成など多岐にわたっているようです。特に、ハイフォンに建設したラックフェン国際港の建設事業では、道路、ベトナム一番の長さの海上橋、埠頭、コンテナターミナルを円借款による公的資金で建設し、ベトナム政府と日本企業、台湾企業が出資した民間資金で運営する大プロジェクトとの説明を受けました。  次に、JASSO─日本学生支援機構─にお伺いし、岡田所長の話を伺いました。  JASSOの活動は、日本への留学情報の提供、日本留学試験の実施、日本留学フェアの開催などであり、ベトナムの若者の日本への留学熱の高いこと、ベトナム国内の大卒者の失業率が高いこと、しかし、日本語をしっかり習得していないと留学試験に合格しないこと、日本とベトナムの所得格差が大きく開いていること、これらのことによる日本の専門学校への留学が多いことなどを伺い、日本留学フェアには鹿児島大学も参加しているとのことでありました。  鹿児島県の留学生六百九十三人のうち、ベトナムからの留学生は百四十七名を数えるそうです。日本文化が好きで、教育水準の高さにあこがれ、日本で就職したいという希望を持って留学したものの、週二十八時間のアルバイトでは生活できないのが実情のようです。  八月九日はハイフォン市へ移動し、前日説明を受けたラックフェン港を現地視察いたしました。ベトナム・日台三国企業出資のハイフォン・インターナショナル・コンテナターミナル会社のゼネラルディレクター、スティーブン・ヤング氏の自信あふれる事業の展開とこれからの拡張計画などをお伺いした後、コンテナターミナルの実地視察をいたしました。好調な経済に支えられ、将来、東南アジアのハブ港を目指す心意気を感じることができました。  八月十日は、世界自然遺産ハロン湾の視察でありました。すばらしい修景でありましたが、余りにも観光地化され、水上生活者への対応、水質浄化問題など、考えさせられることが多くありました。  以上、今回の海外調査の概要を述べさせていただきましたが、国民の平均年齢が二十八歳と若いこと、海外資本の導入に積極的なこと、学校は教室の数が足りなくて、午前と午後に分けて通わなければならないほどでありますが、国全体が将来への明るい展望を持っているように感じました。日本の高度経済成長時代をほうふつとさせるようでありました。  そこで、数点お伺いします。  一点目は、知事は、鹿児島の農畜産物の輸出を図らなければならないと、盛んにトップセールスを行っておられますが、農畜産物の輸出拡大に向けた農産物の生産工程管理である国際水準GAPの県の取り組み状況について伺います。  また、食品衛生管理手法であるISO二二〇〇〇、HACCPなど、衛生基準を満たした上、国際的にはさらに厳しい基準であるFSSC二二〇〇〇の取得が求められると思いますが、県内の取り組みはどのようになっているのか、伺います。  二点目は、食品の輸出について、外国に受け入れられる一番大きな要素は有機栽培、いわゆるオーガニックの食品であろうと思います。県農畜産物の輸出拡大に向けた取り組みの中で、オーガニックの取り組みはどうなっているのか、伺います。  三点目は、今回の視察先であるベトナムは、今後の経済発展が見込まれることから、将来性のある輸出先だと考えます。鹿児島の農畜産物あるいは加工食品のベトナムへの輸出を考えるとき、衛生基準はもちろん、ベトナム人の食についての嗜好性や、どのような階層の消費者をターゲットにするか検討しなければならないと思いますが、農畜産物の輸出の現状と、輸出に当たっての検討すべき課題について伺います。  四点目は、鹿児島で学んだベトナムからの技能実習生は、習得した技能とともに、日本の生活習慣や食の文化を一緒に持ち帰ることになると思いますが、これらを生かし、輸出につなげる方策などは考えていないのか、伺います。  五点目は、JASSOでは、留学生の抱えるもろもろの問題をお聞きいたしましたが、日本における外国人労働者の資格外活動の大半は、留学生であります。留学生の中には、多額の借金をして日本に来て学んでいる者もいるようであります。  鹿児島で学んでいる学生が、日本の法律や生活習慣を覚えたり、日本語を学んだりする際の費用負担について、やがては鹿児島にプラスになると思いますが、外国人が日本語学習などを行うための費用負担の考え方について伺います。  政府は、即戦力となる外国人受け入れは急務だとして、一定の技能や日本語能力を条件に最長五年、これまでの働ける分野を広げた上で、単純労働も認め、二〇二五年までに五十万人の労働者を確保するとしています。秋の臨時国会に関係法の改正案を提出し、年内に日本語教育や生活支援の総合対策をとるとしています。  六月に閣議決定した、まち・ひと・しごと創生基本方針では、外国人の自治体職員の在留資格について、複数の職種につくことを包括的に認める仕組みも導入されるようです。介護人材の受け入れ拡大については、一年以内に三千人、二〇二〇年夏までに一万人を受け入れるという数値目標をベトナム政府と合意したようであります。  そこで伺います。  六点目は、昨年十一月に本県が行った農林水産分野における外国人就労を可能とするための国家戦略特区の提案については、現在どのようになっているのか、伺います。  七点目は、本県の特区提案と政府の骨太方針で示された新たな外国人材の受け入れはどのような違いがあるのか、伺います。  八点目は、私たちが外国人の技能実習生を必要としていると同時に、外国人においても、どの地域のどの職種を選ぶか、最大の関心事であり、よい評判のもとに本県へ快く来ていただかなければなりません。働きやすい環境をつくるには、関係のコミュニティーも重要な役割を担っているものと存じます。これらのことについての対応はどのようになっているのか、コミュニティー政策の観点から伺います。    [知事三反園 訓君登壇] 60 ◯知事(三反園 訓君)輸出拡大に向けました、有機栽培を含めた取り組みについてであります。  本県の農畜産物の輸出拡大に向けましては、本年三月に策定いたしました県農林水産物輸出促進ビジョンに基づき、各種取り組みを進めているところでございます。同ビジョンでは、世界的な健康志向、和食ブーム等を背景に、海外で人気が高まっております有機栽培での輸出実績があるお茶を輸出重点品目に位置づけております。  平成二十九年度の本県からのお茶の輸出額は、欧米を中心に、前年比一二四%のおよそ二億七千万円と年々増加しております。今後とも、ビジョンに基づきまして、有機農産物の引き合いの強い欧米に向けて、有機栽培茶の輸出拡大を推進するなどの取り組みを進めてまいります。  特に、有機抹茶につきましては、海外で需要が高まっていることから、かごしま有機抹茶輸出促進基本構想を本年三月に策定し、戦略的に取り組みを進めているところでございます。  具体的には、有機栽培茶の生産拡大に向けた団地化や、有機JAS認証取得の推進、抹茶の原料となるてん茶の安定供給体制の構築、抹茶加工施設の整備促進、重点市場であります欧米を対象とした、品質と安心・安全を前面に出したプロモーション活動などに取り組んでおります。  本県の有機栽培の取り組みにつきましては、お茶や野菜を中心に、栽培面積が平成十七年の二百ヘクタールに対し、平成二十九年に九百二十二ヘクタールになるなど、着実に増加してきたところでありまして、今後とも、海外における需要動向を的確に把握し、関係機関・団体と連携を図りながら、有機抹茶など本県有機農畜産物の輸出拡大に努めてまいりたいと考えております。  先ほど、ベトナム訪問時のお話を伺いました。非常に注意深く聞かせていただいております。  輸出促進ビジョンに基づきまして、どこの国にどういうものを、どれだけ、どうやって輸出していくか、非常に大事だと思っております。その中で、牛肉につきましては、香港、台湾、そしてアメリカも含めて非常に順調に推移しております。今後は、今、桑鶴議員御指摘のとおり、ベトナムは今後非常に、市場として鹿児島にとっては重要な地域になると認識しておりますので、ベトナム大使とも三回にわたって意見交換しておりますけれども、重点的な地域ということを認識しながら、どういう形でベトナムに対して輸出ができるのか、大臣二人とも会談しておりますので、そこあたりを含めて、今後戦略的に進めさせていただければと思っております。よろしくお願いいたします。 61 ◯農政部長(本田勝規君)国際水準GAPの県の取り組み状況についてでございます。  国は、輸出促進に向け、国際水準GAPの取り組みの拡大を図っており、県でも、農林水産物輸出促進ビジョンにおいて、世界に通用するGAPの認証取得のための取り組みを推進することとしております。県内でも、茶を中心に、グローバルGAPやアジアGAPなどの国際水準GAPの認証を取得する動きが見られます。  国際水準GAPの認証を取得するためには、食品安全、環境保全、労働安全に加え、農場経営管理などの取り組みが求められるほか、審査費用など多額の費用負担が必要であります。このため、県においては、GAPの取得を目指す農業者に対して、高い水準で指導できるGAP指導員の育成や取得費用等の支援に取り組んでおります。  次に、輸出に対応した食品衛生管理についてでございます。  EUや米国等への輸出につきましては、HACCPに基づく衛生管理が求められており、県農林水産物輸出促進ビジョンにおいては、相手国・地域の基準に応じた加工施設の認証取得を推進することとしております。国の調査では、輸出を行っている食品製造事業者のうち、四六%がHACCPを導入しております。近年では、輸出拡大等を見据え、より厳しい国際的な民間認証を取得した事業者も出てきております。  このような中、県では、HACCPやFSSC二二〇〇〇などに関する講習会の開催や、認証取得に必要な取り組みへの助成等を行っております。今年度からは、食品安全管理の高度化に資する人材育成に向け、新たに鹿児島大学が開設した食品管理技術者養成コースに、民間企業等と連携した支援を行っております。  今後とも、関係機関・団体と連携しながら、事業者の輸出に向けた食品安全性向上の取り組みを促進してまいります。  次に、農畜産物や加工食品の輸出についてでございます。  平成二十九年度のベトナムへの農畜産物の輸出は、鶏肉や牛肉などの畜産物のみで、県全体の畜産物の輸出額に占める割合は〇・六%となっております。また、加工食品については、焼酎やお菓子が輸出されております。  国の調査によりますと、ベトナムでは現在、植物検疫について、ほとんどの農産物は検疫条件が設定されておらず輸出が難しいこと、物流について温度管理が不十分なケースが見られるなどの課題があるほか、日本産品への理解や認知はまだ低いとの報告もございます。  このような課題などがあるものの、近年の経済発展に伴い、都市部を中心に市場の伸びが期待されることから、県といたしましては、今後とも、市場ニーズ等を把握しながら、輸出に向けた取り組みを進めてまいります。  次に、特区提案後の状況及び、特区提案と骨太の方針の新たな外国人材の受け入れとの違いについてでございます。  県では、農林水産業の労働力不足が顕在化していることから、昨年十一月、農林水産分野における外国人就労を可能とするための国家戦略特区の提案を行ったところでございます。本県の提案は、現在国において、全国からの特区提案とともに、有識者で構成するワーキンググループによる検討や、関係省庁間での協議が続けられていると聞いております。  国が骨太の方針で示した新たな外国人材の受け入れについては、具体化の作業が進められているところであり、現時点で示された範囲で申し上げると、対象業種を本県の提案では農林水産業としているのに対し、骨太の方針では具体の業種が明らかになっていない点や、在留期間については、本県の提案では最長で三年間としているのに対し、骨太の方針では最長五年間としている点などの違いはあるものの、深刻化する人手不足へ対応するための外国人材の活用を図るという点においては、本県の提案の趣旨に沿うものと考えております。  国は今後、出入国管理及び難民認定法を改正し、業種別の受け入れ方針等を策定することとしており、その中で、受け入れに必要な手続などが示されるものと考えております。  県としましては、本県の特区提案と骨太の方針に示された新たな在留資格の検討状況など、国の動向を注視してまいります。 62 ◯PR・観光戦略部長(川野敏彦君)技能実習生を通じて、輸出振興につなげる方策についてでございます。  技能実習生の方々に本県の食や文化等になれ親しんでもらい、帰国後も県産品を活用したり、本県の魅力をSNS等で発信していただくことは、本県からの輸出拡大や観光振興などに効果があると考えております。  現在県では、県費留学生や技術研修員のOBなど約千六百名の外国人に対し、英語や日本語などによるメールマガジンを発信し、鹿児島の最新情報の広報に努めております。  今後、関係団体等の協力もいただきながら、技能実習生の方々に対するメールマガジンによる情報発信についても検討してまいりたいと考えております。  次に、外国人留学生の日本語学習に対する支援の考え方についてでございます。  県内の外国人留学生は、県の調査によりますと、本年五月現在、大学・専修学校などに六百九十三名が在籍しております。各大学・短大・高専では、それぞれ留学生に対して日本語学習の機会が提供されており、例えば鹿児島大学では、年四回、各五週間の集中講座等を実施しております。また、専修学校などの留学生はほとんどが日本語学科で日本語を学んでおります。  県では、大学などの私費留学生への奨学金を給付しており、また、県国際交流協会や市町村では、外国人のための日本語教室の開催などの支援が行われております。  今後とも、留学生の日本語学習の機会の確保に努めてまいりたいと考えております。  次に、コミュニティー政策の観点からの外国人の受け入れについてでございます。  日本人と異なる言語・文化・習慣を持つ外国人と地域住民が共生していくためには、一人一人が相互理解を深めていくことが重要であります。このため、県では、パンフレットなどを通じ、外国人との共生についての啓発を行っているほか、県国際交流協会では、外国人とともに学習するワークショップの開催などの取り組みを行っております。また、市町村の国際交流協会等においても、さまざまな外国人との交流会を実施しております。  今後とも、国籍や民族などの異なる方々がお互いに認め合い、地域社会の一員としてともに生きていくような多文化共生社会の実現に向けて取り組んでまいります。    [桑鶴 勉君登壇] 63 ◯桑鶴 勉君 意見は後でまとめて申し上げます。  次に、再生可能エネルギーについてお伺いします。  知事はよく、「全国トップクラスの再生可能エネルギーの先進県を目指す」と言われております。本年三月に策定された再生可能エネルギー導入ビジョンは、知事の思いを体系化したものであろうと思います。ビジョンでは、再生可能エネルギーの現状を把握し、二〇一八から二〇二二年度を短期計画期間として数値目標を設定しておられますが、太陽光発電は、設置経費が少なくて済み、電力の固定価格買取制度の効果により、自然景観上、疑問を持たざるを得ないほどの導入が図られていますが、他の発電や熱利用、燃料製造などは伸び悩んでいるのではないかと思います。  そこで伺います。  一点目、それぞれの発電、熱利用、燃料製造ごとの取り組みの現状と、二〇二二年度末の目標値をクリアする可能性をお聞きします。  二点目は、再生可能エネルギー発電の最大の弱点は、気象条件その他自然環境によって、その発電量が一定でないため、停電を防ぎ市民生活や産業活動への影響をなくするために、常に発電事業者にその負担を求めなければならないことです。  先日の九州電力の記者会見によりますと、需給バランスが崩れれば、九州全体の停電、いわゆるブラックアウトの可能性があるとして、電力需要の下がる今月中にも、十キロワット以上の設備を持つ事業者に対して、一時的な出力制御に踏み切る場合があるとのことであります。再生可能エネルギーでも太陽光発電だけが突出し、電力需要の少ない春や秋には、再生可能エネルギー発電が総需要の八割を超えた時間帯もあったようであります。  このような状態を知事はどのように感じておられるのか、お尋ねします。  三点目は、エネルギーの地産地消のために、太陽光発電や風力、水力、地熱、バイオマスなど、再生可能エネルギーによる発電を地域全体でコントロールするセンターみたいなものを考えておられるのか。また、ベースロード電源としての原子力発電との整合性を知事はどのように整理されているのか、伺います。  四点目は、福岡県みやま市の地域新電力事業会社の取り組みや、北九州市や愛知県豊田市などのスマートコミュニティー等の取り組み例をどのように考えておられるのか、伺います。  関連して、バイオマス活用について伺います。  鹿児島県は全国有数の畜産県であり、農業産出額の六割以上を畜産部門が占めており、黒毛和牛、黒豚、黒さつま鶏などの品目がしっかりブランド確立しているわけであります。一方、一部の畜産経営においては、家畜排せつ物の悪臭等に係る環境問題などを抱えているところもあります。  国は、バイオマス活用推進基本法を定め、それに基づく基本計画を策定しております。基本法の中では、国の責務、地方公共団体の責務、事業者の責務、国民の責務などを定め、施策の展開を図るため必要な法制上、財政上、税制上その他の措置をしなければならないとしています。  そこで伺います。  一点目は、国の法律に基づいて、バイオマス活用推進計画を策定されておりますが、耕畜連携を図っていかなければならない本県の特徴的な策定の目的と、他の計画への位置づけ、計画期間、対象とするバイオマスの内容及び主なものの、それぞれの課題などをお聞かせください。  二点目は、県下市町村において、バイオマス活用の計画などを策定しているところがあれば、お聞かせください。  三点目は、家畜排せつ物を活用したバイオマスのエネルギー利用について、県内の取り組みの現状をお聞かせください。  四点目は、県内においては、家畜ふん尿のほとんどは堆肥化するとともに、し尿は浄化した後、河川へ放流していると思われますが、ふんも、し尿もまとめて発酵させ、メタンガスを使っての発電や、ガスそのものの利用を図った後、堆肥化や浄化を行ったほうが効率よく安価に処理できる上に、水質改善にも大きく貢献できるとの取り組みが、北海道や愛知においては実証されているようであります。  県においても参考にされ、同様の取り組みをされる必要があると思いますが、見解をお聞かせください。  次に、eスポーツについて伺います。  二日閉幕のアジア大会では、ビデオゲームの腕を競うeスポーツが、公開競技として初めて行われました。ジャカルタ北部の特設会場で行われ、サッカーゲームで日本代表が見事、金メダルを獲得したというニュースを目にしました。  アナログ世代の私には、コンピューターゲームが、しかも、体を動かさないゲームがスポーツかよという素朴な疑問はありますが、特設会場の熱気といい、インターネットによる世界中で何億人にも上る視聴者の数は、FIFAやIOCも無視できないところに来ているようであります。  折しも、東京では東京ゲームショウが行われているようであります。二〇二二年中国・杭州大会では、正式種目となる見通しだそうであります。来年の茨城国体でも、文化プログラムとして採用される見通しだそうであります。  このような中、スポーツ庁は、スポーツを体を動かすという人間の本源的な欲求に応えるものと定義しており、ヨーロッパでは主流となりつつあるスポーツの娯楽性を重視していないようであります。  そのような中で、eスポーツは、男女に関係なく、あるいは運動能力に関係なく参加できるスポーツとして着実に若者の間に定着し、将来、正式なオリンピック種目として採用される流れはできつつあるのではなかろうかと思います。また、特設会場への動員力、インターネット中継での視聴率、参加者、観戦者の熱気など考慮しますと、開催地へのメリットははかり知れないものがあるように思えます。  そこで伺います。  一点目は、知事はメディアの世界におられたわけでありますが、eスポーツに対してどのような感想をお持ちか、伺います。  二点目は、来年の茨城国体で文化プログラムとして開催されるとして、先日、茨城県、eスポーツ連合、日本サッカー協会の三者による共同記者会見が行われたと聞きますが、茨城国体における開催要領はどのようなものなのか、伺います。  三点目は、十月一日から、「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」の文化プログラムを募集されると伺っておりますが、eスポーツを文化プログラムの一つに採用される可能性はないものか、伺います。    [知事三反園 訓君登壇]
    64 ◯知事(三反園 訓君)eスポーツに対する感想と、鹿児島国体での対応についてでございます。  eスポーツは、コンピューターゲームを用いた競技で、機器の普及等に伴い、全世界で流行の兆しが見られ、国内においても関心が高まってきております。これはeスポーツが、スポーツと定義すべきかの意見が交わされていることは承知しておりますけれども、年齢や性別等にかかわらず、みんなが対等に競技を行えること、また、二〇二二年のアジア競技大会、二〇二四年のオリンピックでの正式競技を目指す動きがあることなどが要因になっているものと認識しております。  このような中、eスポーツは、昨年開催の愛媛国体に引き続き、本年開催の福井国体、来年開催の茨城国体においても、文化プログラムとして実施される予定であることを踏まえ、二〇二〇年開催の鹿児島国体においても何らかの形で開催されるように、先催県や関係団体との連携・調整を図ってまいりたいと考えております。 65 ◯企画部長(古薗宏明君)再生可能エネルギーの導入促進の取り組みの現状と目標達成の見込みについてであります。  県では、再生可能エネルギー導入ビジョン二〇一八に基づき、安定した発電が可能な小水力、地熱バイナリー、バイオマスの導入を積極的に促進しており、これらを利用した発電について、導入可能性調査に対する支援やセミナーの開催等を行っております。昨年度末の発電出力は、前年度比で小水力は一・一倍、地熱バイナリーは四・二倍となっており、本年十一月には、県内最大となる木質バイオマス発電が運転開始予定であります。また、バイオマス熱などの利用は一・一倍、廃食油からの燃料製造は一・二倍となっておりまして、地中熱の活用に係る普及啓発や燃料製造に関する情報提供等に取り組んでおります。  県といたしましては、今後とも、再生可能エネルギー導入促進のための条件整備などを行い、目標が達成できるよう努めてまいります。  バランスのとれた再生可能エネルギーの導入についてであります。  九州電力によりますと、九州では太陽光発電の接続量が急増し、本年五月三日にはその出力が電力需要の八割程度を占め、調整余力がわずかしかない厳しい需給状況が生じたとされております。  県では、エネルギーパークかごしまの実現に向け、施策の指針となるビジョンを策定し、安定した発電が可能な小水力発電、地熱バイナリー発電、バイオマス発電について、太陽光発電以上の伸びを達成することを目標として掲げたところであり、事業者による導入可能性調査等を支援するとともに、蓄電システムの構築等について、引き続き、県開発促進協議会等を通じて国に対して要望してまいります。  エネルギーの地産地消とベースロード電源との整合性についてであります。  県では、再生可能エネルギー導入ビジョン二〇一八におきまして、地域の資源を地域で利用することにより、資金の県外への流出を防いで循環を図り、雇用の創出や地域の活性化につなげる再生可能エネルギーの地産地消による雇用の創出、地域の活性化を基本方針の一つとして掲げ、地域の特色を生かした再生可能エネルギーの地産地消を促進することといたしております。  国は、第五次エネルギー基本計画におきまして、再生可能エネルギーについて導入を積極的に推進していくこととし、確実な主力電源化への布石としての取り組みを早期に進めることといたしております。また、重要なベースロード電源として位置づけられている原子力については、再生可能エネルギーの導入などにより、依存度を可能な限り低減させるとしております。  県といたしましては、本県の多様で豊かな資源を最大限活用して、再生可能エネルギーの導入を積極的に促進してまいりたいと考えております。  福岡県みやま市等の取り組みについてであります。  福岡県みやま市は、電力事業会社を設立し、電力使用量を利用した見守りを行うサービスの提供による高齢者や子育ての支援などに取り組んでおります。また、北九州市や愛知県豊田市では、スマートコミュニティーの構築に向け、電力需要の状況に応じた時間帯ごとの料金設定により、省エネやピークカットの効果を生み出す実証や、車載型蓄電池等を地域単位で制御することで、電力マネジメント技術を確立するための実証などに取り組んでおります。県内でも、いちき串木野市でスマートコミュニティーの構築に向けた動きがあります。  これらの先行事例は、エネルギーを地産地消するまちづくりの参考となる取り組みであり、他の地域にも広がるよう情報提供や普及啓発等に努めてまいります。  家畜排せつ物のエネルギー利用に係る県内の取り組みの現状についてであります。  県内におきましては、養鶏事業者等により、鶏ふん等を利用した発電などが工場の自家消費用として導入されております。牛や豚のふん尿を利用したメタン発酵ガス化発電などにつきましては、導入コストや、途中で発生する消化液の処理などの課題もあり、導入が進んでいない状況にあります。  メタン発酵ガス化発電の取り組みについてであります。  県では、多量に存在する家畜排せつ物等のエネルギー利用を促進いたしますため、平成二十八年三月に、バイオマスエネルギー利用に向けた取組指針と、メタン発酵ガス化発電等の導入に当たっての留意事項を取りまとめました。また、平成二十八年、二十九年には、メタン発酵ガス化発電の事業化に当たり、必要となる事前調査に要する経費の支援を行い、今年度は、設備の基本設計等に要する経費を支援する制度を創設いたしました。  家畜排せつ物等を利用したメタン発酵ガス化発電については、まだ事業化には至っていない状況にありますが、今後、発電に対する導入支援や普及啓発を行うことによりまして、導入コスト等の課題解決を図りながら、有用性について畜産事業者等の理解を醸成し、事業化に向けた取り組みの促進を図ってまいります。 66 ◯農政部長(本田勝規君)バイオマスエネルギーの活用についてでございます。  本県のバイオマス活用推進計画については、県内に豊富に存在する家畜排せつ物や焼酎かす等を中心に、堆肥や飼料、発電用や発熱用としての利活用を目的に、平成二十九年三月に策定したものであり、おおむね五年ごとに必要な見直しを行うこととしております。  なお、バイオマスの活用促進につきましては、この計画以外にも、鹿児島県における家畜排せつ物の利用の促進を図るための計画において耕畜連携の観点から、また、県の再生可能エネルギー導入ビジョン二〇一八においてエネルギー利用の観点から、それぞれ位置づけられております。  次に、バイオマスの内容と主な課題についてであります。  この推進計画では、家畜排せつ物、林地残材等や焼酎かすなど十種類を対象としており、家畜排せつ物については、地域の実情に応じた耕畜連携の体制づくりなどが、林地残材等については、伐採や運搬などのコスト低減が、焼酎かすについては、プラントの維持管理等への対応が課題となっております。これらの課題に対しては、それぞれの方針を定めて取り組んでいるところでございます。  なお、市町村の計画については、薩摩川内市及び大崎町が策定しております。 67 ◯国体・全国障害者スポーツ大会局長(中堂薗哲郎君)茨城国体で開催されるeスポーツの開催要領についてでございます。  国体・全国障害者スポーツ大会の文化プログラムにつきましては、日本スポーツ協会が定める実施基準において、国体開催の機運醸成や国体の全国的な普及啓発等を図ることが目的とされております。  来年開催されます茨城国体の文化プログラム事業において実施予定のeスポーツにつきましては、日本eスポーツ連合と日本サッカー協会、茨城県の三者が、大会名を全国都道府県対抗eスポーツ選手権二〇一九IBARAKIとすること、実施競技はサッカーゲームとし、高校生を対象とする少年の部と、高校生以外のオープンの部を設けること、二〇一九年四月から各都道府県で予選会を、十月に茨城県で本大会を開催することなどを今月四日に発表したところであり、詳細は今後、決定すると聞いております。    [桑鶴 勉君登壇] 68 ◯桑鶴 勉君 続いて、砂防事業についてお伺いします。  去る七月六日から八日にかけて西日本方面を襲った平成三十年七月豪雨は、予想降雨量が災害に直結するレベルであったことから、気象庁は、被害発生前から異例の緊急会見を開き、広く警戒を呼びかけ、運用を開始して以来最多となる十一府県で大雨特別警報を発令しました。にもかかわらず、記録的な大雨は、二百二十名を超す死者を出す大災害となりました。  鹿児島県でも、桜島において土砂崩れにより、お二人のとうとい命が失われるという被害を出す結果となりました。亡くなられたお二人の御冥福を心からお祈り申し上げます。  鹿児島県は、二十五年前に八・六水害という大災害に見舞われています。そこで、桜島の崖崩れを含む西日本豪雨災害を踏まえ、土砂災害対策のあり方、特に、土砂災害警戒区域等を指定し、早期に住民に危険な区域を周知すべき必要があることから、これらについて伺ってまいります。  一点目は、桜島の古里町で発生した崖崩れへの対応は、現在どのような状況なのか。  二点目は、今回の災害を踏まえ、砂防等施設の整備は今後も必要と考えていますが、本県における土砂災害対策の進捗状況はどのようになっているのか、八・六水害時の状況も踏まえてお聞かせください。  三点目は、今回の豪雨では、広島県が整備していた石積みの砂防堰堤が大量の土砂等で破壊されたようですが、本県における石積み砂防堰堤の状況と今後の対応方針をお聞かせください。  四点目は、報道によると、広島県や愛媛県での災害では、被災範囲と土砂災害警戒区域等がほぼ一致しており、土砂災害が想定された危険区域内での死者数が約七割とのことです。また、桜島の古里町の崖崩れ箇所も土砂災害警戒区域に指定されていることから、土砂災害の危険区域を住民に知らせることが重要と思われます。  そこで、鹿児島県内の土砂災害特別警戒区域等の総数及びその指定状況をお聞かせください。  五点目は、今回、死者の出た鹿児島市内では、特に土砂災害特別警戒区域の指定が進んでいない中、先日の土砂災害を踏まえると、一定の開発行為の制限など、住民や要配慮者利用施設等の新規立地の観点から、早急に指定し、住民の方々へ周知すべきであります。県としても、財政的にも、人的資源も最大限投入していただき、指定を急ぐべきと考えますが、鹿児島市内における土砂災害特別警戒区域等の総数及びその指定状況と、今後いつまでに、どのような方法で指定を進めていくのか、見解をお聞きいたします。  六点目は、土砂災害特別警戒区域を指定した場合、その区域にはさまざまな制限がかかることになりますが、具体的にはどのような制限がかかるのか。また、土砂災害防止法に定める規制等を適切に運用するための取り組み内容をお聞かせください。  七点目は、今回の災害では、防災情報が流れても、自分のこととして受けとめてもらえず避難につながらないことや、死者のうち高齢者が占める割合が多いことなど、高齢者など要配慮者への情報伝達、早期避難に課題があったと考えられますが、住民の早期避難につながる警戒避難体制の充実・強化、支援に関する取り組み状況などをお聞かせください。  次に、建設汚泥について伺います。  建設汚泥とは、地山の掘削により生じる土砂以外のもの、例えば、トンネル工事や建築物の基礎工事などに伴って排出されるもののうち、含水率が高かったり、セメントミルクなどの混入したものなど、産業廃棄物として扱われるものなどの総称と理解しています。  建設汚泥の再資源化率は極めて低い水準にとどまっており、産業廃棄物の最終処分場の残余容量が逼迫している中、建設汚泥の最終処分量をいかに削減するかは喫緊の課題になっていたことから、国交省では平成十八年六月に、建設汚泥の再生利用に関するガイドライン及びリサイクル原則化ルールを策定しております。  また、建設工事に伴い生じた建設廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律に従って適正に処理しなければならず、地盤改良工事やくい打ち工事などの建設工事で発生した建設汚泥の水分を抜いたものや、セメントなどの固化材により処理した建設汚泥処理物の取り扱いについては、既に環境省から、建設汚泥処理物の廃棄物該当性の判断指針が示されています。  国交省は、建設汚泥の再資源化・縮減率が、コンクリート塊など、他の品目に比べて低いことから、現計画の建設リサイクル推進計画二〇一四では、平成三十年度目標値を九〇%以上と設定しています。  泥土リサイクル協会が平成二十九年度に実施した、建設汚泥並びに廃石こうボードのリサイクル実態に関する自治体へのアンケート調査によりますと、多くの自治体でリサイクル製品認定制度が整備されている状況でありながら、建設汚泥再生品として有償譲渡されているのは全体の六%程度と低いことがわかりました。  多くのものは現場内処理がなされているものと思いますが、その利用実態はわかっておりません。  そこで伺います。  一点目は、県では、再生資源活用工事実施要領及び同要領の運用により、再生資源活用のための方策を示しているところですが、県内の建設工事における建設汚泥の処理状況をお聞かせください。  二点目は、建設汚泥が発生する工事において、現場内での再生利用が困難なものについては、他の工事や再資源化施設への搬出によって再生利用が図られるよう、設計図書に示すべきと思いますが、どうか。  三点目は、再資源化施設に持ち込まれ、再生処理されたものについては、積極的に公共工事に利用すべきと考えますが、見解をお聞かせください。  四点目は、国交省の示したガイドライン及びリサイクル原則化ルール等の対象にならない民間工事について、適正処理及びリサイクル促進についての指導にはどのような方針で臨まれるのか、お聞かせください。  また、市町村への周知、指導も必要と考えますが、どのようにされているのか、あわせてお聞かせください。  最後に、今後、建設汚泥のリサイクルを一層促進するためには、現在運用している実施要領より一歩踏み込んだ、実効性のある指針等の策定も必要と考えますが、見解をお聞かせください。 69 ◯土木部長(渡邊 茂君)砂防事業についてのうち、桜島の古里町で発生した崖崩れの対応状況についてであります。  平成三十年七月豪雨災害を受け、県といたしましては、被災箇所の早期復旧、再度災害防止を図るため、国との協議を速やかに行い、先日、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業が採択されたところであります。引き続き、測量設計や用地取得を進め、対策工事の早期着手に努めてまいります。  本県における土砂災害対策の進捗状況についてであります。  本県は、災害が起こりやすい自然条件となっており、甚大な被害が発生した平成五年の一連の豪雨災害を初め、近年でも土砂災害が頻発しております。このようなことから、鹿児島市の竜ヶ水地区を初めとして、近年大きな被害を受けた地域等に砂防関係施設を重点的に整備しているところであります。その結果、砂防関係施設の整備率は、平成五年当時の二〇%から、昨年度末には三六%にまでなっております。  続きまして、石積み砂防堰堤の状況と今後の対応方針についてであります。  本県が管理している砂防堰堤は千七百二十九基あり、そのうち、石積み砂防堰堤は四十四基あります。県では、砂防堰堤を定期的に点検しており、点検の結果、石積み砂防堰堤四十四基のうち、四基について補修等の対策が必要となっております。  今後は、補修等の対策を行い、今年度中に策定する長寿命化計画に基づき、適切な維持管理に努めてまいりたいと考えております。  続きまして、本県及び鹿児島市における土砂災害警戒区域等の指定状況についてであります。  土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域等に関して、本年八月末現在、土砂災害警戒区域については、指定が必要な約二万二千九百カ所のうち、約八割に当たる一万七千八百二十一カ所を指定したところであります。また、土砂災害特別警戒区域については、指定が必要な約二万六百カ所のうち、約五割に当たる九千九百十四カ所を指定したところであります。  このうち、鹿児島市においては、警戒避難体制の早期確立を図るため、土砂災害警戒区域の指定を先行させ、平成二十年までに、指定が必要な約三千三百カ所のうち、ほぼ全ての箇所を指定したところであります。  一方、土砂災害特別警戒区域の指定が必要な約三千三百カ所については、最新の航空レーザー測量成果を活用し、調査期間の短縮やコスト縮減を図りながら、来年度末までに指定に必要な基礎調査を完了させることを目標に進め、調査完了後、速やかに指定することとしております。  続きまして、土砂災害特別警戒区域の規制と、適切な運用のための取り組みについてであります。  土砂災害特別警戒区域では、特定の開発行為に対する許可制や建築物の構造規制とともに、必要に応じて、建築物の移転等の勧告及び支援措置がなされることとなります。これらの規制等を適切に運用するため、本県では、土砂災害特別警戒区域等に立地する危険住宅の移転に要する費用の一部を助成するがけ地近接等危険住宅移転事業を実施しております。  今後とも、関係市町村と連携を図りながら、制度の周知徹底及び本事業の活用を促進してまいります。  続きまして、建設汚泥についてのうち、建設汚泥の処理状況及び再生利用等についてであります。  県発注の公共工事において発生する建設汚泥については、再生資源活用工事実施要領において、再生利用に努めることとしているところであります。具体的には、建設汚泥を工事現場から搬出する場合は、原則として再生利用させるため、他の建設工事現場または再資源化施設に搬出することとし、これらに関する条件を設計図書に記載しているところであり、平成二十四年度に実施された調査では、県発注の公共土木工事から搬出された約一千七百トンの建設汚泥のうち、約九八%を再生利用しており、県内の建設工事全体から排出された約五万二千トンについても、約九五%となっている状況であります。また、再生処理された建設汚泥は、再生資材として可能な限り利用するよう努めることとしております。  しかしながら、価格が高く、また、再資源化施設が鹿児島市内にしかないことや、施設内の再生資材の実態を把握していないことから、まずは再生資材の実態把握に努めてまいります。  続きまして、建設汚泥のリサイクル促進に向けた取り組み強化についてであります。  国土交通省では、建設汚泥等の適正処理を推進するため、建設リサイクル推進計画を定期的に策定してきており、平成二十六年に策定された推進計画では、民間事業者を含めた建設リサイクルの関係者による再生資材の利用徹底などが盛り込まれたところであります。本県では、国、県、市町村及び建設業協会で構成する建設副産物対策連絡会議を各地区に設置し、毎年度、必要な協議、情報の収集等を行っているところであります。  県といたしましては、今後、同連絡会議を通じ、建設汚泥に関する情報を共有するとともに、推進計画や実施要領などの各種施策の理解促進、意識向上を図り、建設汚泥のリサイクル促進に向けた取り組み強化に努めてまいります。 70 ◯危機管理局長(木場信人君)住民の早期避難につながる県の取り組み状況についてであります。  住民の避難については、行政からの適切な情報伝達などに加え、自分自身を守る自助や、地域で助け合う共助が極めて重要であります。このため、県では、地域で防災活動の指導的役割を担う地域防災推進員の養成、出前講座の実施や講演会等の開催などを通じて、県民の防災意識の高揚や防災知識の普及啓発に努めております。  高齢者などの要配慮者の避難につきましては、県が示したモデルプランを参考に、市町村が避難支援体制の整備等を盛り込んだ全体計画を策定し、さらに、みずから避難することが困難な避難行動要支援者について、名簿を作成したところです。現在、市町村は、具体的な避難方法等についての個別計画の作成を行っているところであり、県としても、計画の作成や充実を要請しているところであります。  また、県総合防災システムの導入を図り、気象や避難の情報を市町村と同時共有できるようになったほか、県では、市町村長が適切なタイミングで避難勧告等を発令できるよう、土砂災害警戒情報等が発令された場合に、直接電話での助言も行っているところであります。  県としては、市町村と連携し、県民が安全に迅速・的確な避難ができるように、引き続き取り組んでまいります。    [桑鶴 勉君登壇] 71 ◯桑鶴 勉君 まず知事に、eスポーツに対する大変前向きな御答弁をいただきました。お礼を申し上げます。今、子供たちがゲーム依存症とか、いろいろ社会問題になっていますけれども、本当に健全なゲームに取り組む姿、スポーツにいそしむ姿、これらのものを私どももしっかりと育んでいかなければならないと思うことであります。  農産物や加工食品の輸出について申しますと、私たちは、日本の農産物や加工食品は大変清潔であると胸を張っていると思いますが、世界的に見ますと、日本は農薬基準が甘かったり、衛生基準を満たしていなかったり、まだまだ改善しなければならないことが多いような気がします。これからも積極的な取り組みを要望いたしておきます。  再生可能エネルギーの活用に当たっては、理想を述べることは大変かっこよく、スマートに見えるのでありますが、足元の現実を踏まえることも大切ではなかろうかと思うわけであります。何しろ、再生可能エネルギーによる電力の国民負担は約三兆円とも言われておりますから、産業活動への影響も考慮しなければいけないと思っているところであります。  警戒区域のことに関して申し上げますと、長年、先祖伝来ここに住んでいるから、私は体が不自由だから、もう避難するのはいいよ、このような考えを持たれる高齢者あるいは要支援者の方が多いように見受けられます。  そこで、消防団や防災会あるいは地域コミュニティーを中心に、かねてからの避難訓練や自治体などの啓発活動を根気よく重ねることが大事かと思います。昔は水防団とか、あるいは輪中の知恵とか…… 72 ◯副議長(大園清信君)発言時間を超過しておりますから、簡潔に願います。 73 ◯桑鶴 勉君 はい、わかりました。  これらのものを私どもは先祖伝来の知恵として持っていたと思っています。これからも、一人の犠牲も出さない鹿児島をつくっていきたいと思っているところであります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 74 ◯副議長(大園清信君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 75    △ 日程報告 ◯副議長(大園清信君)九月二十五日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問であります。       ───────────── 76    △ 散  会 ◯副議長(大園清信君)本日は、これで散会いたします。
           午後三時十七分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...